最終話 ホワイトクリスマス
きっと奏は焦っていたのかもしれない。
僕に好意を寄せる女性が複数居たからという理由で…。
それ故の変態的告白。
不器用な彼女なりの精一杯の告白の形。
僕はそれを何となく理解するとクリスマスに備えるのであった。
「こんなものしか用意できなかったけど…」
そう言って永野は僕に受験の為、自分が使用していた参考書を手渡してくる。
僕は永野に厚手のマフラーを手渡した。
「受験するのかわからないけれど…あって損はないでしょ?それに私が使っていたものを持っていて欲しいんだ…」
永野はそこで言葉を区切ると気軽い感じで世間話でもするように口を開く。
「私達付き合っちゃう?」
その言葉に僕はどう返事をしたのだろうか…。
引き続きクリスマスのこと。
尾灯と会う約束をしていた僕は開口一番で彼女に伝えることを考えていた。
「ごめん。やっぱり僕は尾灯を恩人だとしか思えないんだ。恋人になるだなんて想像もできない。勝手なことを言って申し訳ない」
「分かってたよ。だからこれは私からの最後の別れのプレゼント」
尾灯はそう言うと僕の腕を掴んで銀のブレスレットを付けた。
「外したかったらいつでも外していいから。じゃあね」
去っていく尾灯の背を眺めながら僕は深く息を吐くのであった。
結局僕が選んだ相手は目の前にいる。
奏に用意していた物を見せると彼女は異常なほどに喜んで見せた。
「左手出して」
そう、僕も奏と同様に指輪を購入すると彼女の左薬指にはめる。
「ずっと一緒に居てくれるってこと?」
「そうだね。これからも一緒だ」
そうして僕らの短い恋物語は幕を閉じていく。
寒いホワイトクリスマスの夜の日に…。
完
「来世は君の履くパンツになりたい…♡」と言う変態的告白に対して、どの様な返事をするのが正解なのか…。今の僕にはまだわからない… ALC @AliceCarp
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