第24話 帝国騎士の追求から逃れるために、お笑いの道へ

 前回のあらすじ(嘘)


 ついに始まる天下一お笑い武道会。世界各地から集まったお笑い自慢たちは、自身のお笑い力を試すために、ネタの準備に余念がなかった。


 大事に温めた漫才ノートを武器に、会場のお客さんたちを、どっかんばっかんと笑わせていく。


 はたして優勝するのは、どのお笑い自慢なのか?


 ――――というのは当然嘘のあらすじなんですが、一ミリぐらいは当たっていました。


 私は、戦士のアカトムさんの個人情報を守るために、遊び人愛用のパーティーグッズ・眼鏡&鼻&ヒゲを取り出しました。


 漫才でも使えるんですよ、このセット商品。


 実際、去年の天下一お笑い武道会の優勝者も使っていましたし。


 というわけで、この漫才用のアイテムを、真面目なアカトムさんの顔にパチリと貼りつけると、帝国騎士のみなさんに嘘の説明をしました。


「ごらんのとおり、彼女、将来は天下一お笑い武道会に出場したいので、机の下で大道芸の練習をしていたんです」


 アカトムさんも、正体を隠したいので、私の嘘に乗っかると、パーティーグッズの唐笠をくるくる回しました。


 せっかくなので、私は唐笠の上に、手毬をひょいっと乗っけました。


 お正月の定番芸、唐笠玉転がしです。


「おめでとうございます、いつもより多めに回っております!」


 おや、アカトムさん、実はノリノリですね。騎士の家系とかいっておいて、やっぱりお笑い好きじゃないですか。


 さては、去年の天下一お笑い武道会、見ていたんでしょう。


 まったくもー、しょうがないなぁ、今年は私とコンビを組んで出場しちゃいますか?


 そんなお笑いノリの私たちを見て、帝国騎士のみなさんは、けらけら笑いながら、部屋を出ていきます。


「おもしろいパーティーだな。君たちぐらいお気楽にやるなら、冒険者も悪くないのかもしれない」


 さらっとバカにされましたが、まぁアカトムさんの正体を隠すためなので、流しておきましょう。


 さて騎士団から逃げきったアカトムさんですけど、私の肩に手を置きながら、悲しそうな顔でお礼を言いました。


「助かったよ、ユーリュー。ますますボクのキャラが怪しくなっちゃったけど、顔バレしないほうが何百倍もマシだから、これでよかったんだ」


「今回のアルバイトの最中は、パーティーグッズ、手放せそうにないですね」


「むしろ今後ダンジョン配信をするときは、ずっとこの眼鏡&鼻&ヒゲをつけていようと思う。だって実家に顔バレしちゃうし」


 大変ですね、高貴な一族というのは。なにをやるにも、実家に気を使わないといけないなんて。


 まぁ私も指名手配犯の娘ですから、基本的には悪目立ちしないほうがいいんですが、ダンジョン配信で儲けたいですから、ギリギリを攻めていきましょう。


 金さえあれば、たいていの逆境は乗り越えられるでしょうし。


 というわけで、次回の更新から、四天王のダンジョンに、レッツゴーです!

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