第16話 現在のダンジョン配信タグの人気状況、まずはお色気配信を分析していきましょう

 さて競馬好きの僧侶は無視するとして、さっそくダンジョン配信の人気状況をチェックしていきましょう。


 まず前提条件として、現在の配信者は、どこかの組織に所属しているパーティーです。


 我々みたいな独立した配信者はいませんね。当たり前です、だって一般市民向けの廉価版VITが発売されたのは今日ですし。


 そんな状況で、一番最初にチェックしないといけないのは、かつて魔法ギルドの試験配信で接触することになった、お色気配信です。


 お色気パーティーのリーダーは、二面性の激しい吟遊詩人の女の子・ジェナーディですね。


 現在も配信中で、5000人前後の同時視聴者数です。


 かなり多い人数です。しかし想定より伸びていませんでした。


 戦士のアカトムさんも、おやっと不思議がりました。


「あれだけ若くて可愛い女の子が、お色気上等でお客さんを集めたら、もっと人が集まると思ったんだけど……こんなもんかい?」


 私もそう思ったので、その他のお色気パーティーの様子を調べてきました。


 ジェナーディたちの次に視聴者数が多いお色気配信ですけど、1000人前後ですね。


 その下になると、100人前後しか集められていません。


 では、さらにその下はどうかといえば、一桁です。


 私たちより可愛いし、スタイル抜群な女の子の集まりなのに、びっくりするぐらいお客さんが集まっていません。


「お色気配信は、激しい競争が起きているみたいですね。要は、見た目に自信がある女の子たちが集まった結果、見た目の良さが武器にならなくなったんです」


 戦士のアカトムさんは、楽しそうに鼻を鳴らしました。


「世の中、こんなに可愛い子がいるんだね。こんなに可愛い子が並んでると、うちのシーダが普通に見えてくるよ」


 武道家のシーダさんは、名前を呼ばれるなり、ふんふんと腹筋しました。


「普通の筋肉では満足できない。やはり世界を救えるほどの筋肉を身につけなければ」


 シーダさん、やっぱり自分が可愛いことに無自覚というか、あんまり興味がないみたいですね。


 まぁ脳筋の彼女のことは、後回しにしましょう。とにかくダンジョン配信のことですよ。


 私は、お色気配信について、一定の結論を出しました。


「お色気配信は、確実に需要はありますけど、パイの奪い合いになりますね。見た目の良さ以外のところで勝負しなきゃいけなくなるし、かといって見た目をおろそかにすればあっさり埋もれるので、人気を維持するのがキツいですよ」


 戦士のアカトムさんも、自分のほっぺたを、ぷにぷに押しました。


「もうちょい年を取って、二十代真ん中ぐらいになったらさ、がくっと視聴者数が減りそうだね。まさに水商売そのものだ。たしかにこの売り方は、ボクたちが参入するべきじゃなかった。やっぱりユーリューの判断は正しいってことか」


 うんうん、やっぱり私は役立ちますね。レベル1の遊び人でも問題なし。


 さて、お色気配信の分析はここまでで、次に調べるのは正統派の配信ですよ。


 正統派の意味を説明しておきますと、いまの自分たちの実力に合わせて、難しいダンジョンを攻略して、その過程を視聴者に楽しんでもらうタイプの配信ですね。


 腕に自信のあるパーティーほど、この配信スタイルを採用しています。


 となれば、正統派の配信で、もっとも視聴者数の多い配信は、当然のように勇者パーティーでした。


 では勇者パーティーが、どんな感じで人気者になっているのかは、次回の更新までお待ちください。



 +++おまけ 皇帝賞(春)のレース状況+++


 各馬ゲートに入って、態勢整いました。スタートしました。おっとシルバーシップ出遅れましたが、これはいつものこと。最後の大まくりにすべてを賭けます。


 鼻を奪ったのは、ラノンエスプレッソとYカワータ。どんなペースを刻んで、この隊列を率いることになるんでしょうか。


 3200メートルという長丁場のレース、ちょっとしたペースの変化が、大きなカギになります。


 そろそろ1000メートルに到達しますが、ペースは平均です。相変わらず先頭はラノンエスプレッソです。


 その後ろにワイネルベーグル・ハラッパインパクトと続きまして、外からゴイシンフラッシュが競りかけてきました。


 二週目のバックストレッチに入ったところで、ついにシルバーシップがロングスパート開始、T・ヨヤーマ勝負に出た!


 ++最後の直線に入る前で記述はおしまい。着順発表は次回の更新です++

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