レベル1からレベル5までしかいない低レベル女の子パーティーなんですけど、ダンジョン配信を始めたら冒険の収入より広告収入が上回りました
第2話 パーティーの仲間たちを紹介していきます。まずは僧侶のレーニャさんから
第2話 パーティーの仲間たちを紹介していきます。まずは僧侶のレーニャさんから
私には、三人の仲間がいます。
僧侶、戦士、武道家で、みんな十代の女の子です。
彼女たちは、野宿の準備をするために、各自の得意技を活かして、素材を集めてきました。
もっとも大事な食糧ですが、僧侶のレーニャさんが魚を釣ってきました。
「大漁、大漁、やっぱりあたしは魚釣りが上手だわ」
彼女は漁師の娘なので、魚釣りに強いです。どこにでも落ちている木の枝と根っこで釣り竿を作ると、まるで魔法みたいな鮮やかさで魚を釣ってきます。
今日だって、十匹も釣ってきました。もちろん全部新鮮。野宿の際は重宝するスキルですね。
そんな釣り名人の外見ですが、可もなく不可もなくです。
顔は、愛嬌のあるたぬきっぽい感じ。体型は、十代の女の子として平均的な凹凸がありますね。髪型は、ありふれた三つ編です。
お洋服ですが、僧侶用の法衣を装備しています。ンハロ教という土着宗教の力で神聖魔法を使うので、宗教の目印である青い渦巻が刺繍されていますね。
法衣なんて着ていると、いかにも真面目そうに見えますが、そんなことありません。
ちょっと口が悪いし、ギャンブルが好きなんです。
この前だって、冒険の分け前を競馬に注ぎ込んで、すっからかんになって帰ってきました。
うーん、なんで分散投資しないで、全力で突っ張るんでしょうねぇ……。
いや、そもそもの話として、僧侶って賭け事禁止のはずですが……いや、これ以上考えるのはやめておきましょう。
貴重な神聖魔法の使い手が破門されてしまっては、パーティー全員が困りますから。
「レーニャさん、魚を釣ってきたのはあなたですから、調理方法の選択権があります。煮るのと焼くの、どちらがいいですか?」
私は、釣りたての魚を、小型ナイフでさばいていきます。レベル1の遊び人であっても、サバイバルは得意ですよ。破天荒な父の教育によって。
「焼くのがいい! ちゃんとハラワタとってよ、苦いのはイヤ。あと塩は適度に、添え物の山菜はバランスよく」
ごらんのとおり、レーニャさんは、かなりのワガママです。野宿みたいなぜいたくの言えない環境で、ちょっとした食事にこだわりを見せるんですから。
「ハラワタはちゃんと取りますけど、それ以外のリクエストは忘れておきますね」
「なんでよ! ケチ、寸胴、男顔、貧乳をこえてまな板」
本当に口が悪いですねぇ、このギャンブル好き僧侶は。ンハロ教の教会で、冒険の心構えを習わなかったんでしょうか。
「親しき仲にも礼儀ありって言葉を知らないんですか、レーニャさんは。いくらパーティーを組んでいても、暴言ばかりでは信用を失ってしまいますよ」
私が欠点を指摘すれば、レーニャさんは真剣な顔でうなずいた。
「たしかにあんたの言ったとおりね。ちょっと言い過ぎたわ。ごめんなさい」
ちゃんと謝れるということは、良くも悪くも素直な子なんですよ、レーニャさんは。
しかし学習能力は、それほど高くありません。
「ユーリューってさ、レベル1の遊び人なんて激ヤバ状態なのに、まるで焦った様子がないんだけど、なんでそんなにメンタル強いわけ?」
暴言スレスレの質問ですよ。さっき謝ったのは、なんだったんでしょうか。
そもそもレーニャさんだって、レベル2ですよ。どんぐりの背比べじゃないですか。
でもまぁ、レーニャさんが指摘したことは、間違ってもいないんですよね。
パーティーに所属していながら、レベル1の遊び人であり続けることは、冒険者としてはリスクの塊でしょうねぇ。
他のメンバーにしてみれば、冒険で得られた利益を役立たずに分配したくないでしょうし。
しかし私には強みもたくさんありますから。
「私は、このパーティーに必要ですよ。なぜなら世間知に優れているからです」
世間知=ざっくりいえば、社会と人間関係における要点と落とし穴を見抜く能力が高いということですね。
うちのパーティーのみなさんは、この手の能力が低いため、ちょっと放っておくと詐欺に遭ったりします。
なんなら当時無所属だった私が、彼女たちを詐欺から救ったことをきっかけに、パーティー入りを果たしています。
どうやらレーニャさんは、当時のことを思い出したらしく、まるで反省する幼児みたいな態度で、あぐらをかきました。
「あんたがパーティーに入ってから、もう半年たってるのかぁ。あの日もさぁ、おいしい話には裏があるって知識があってもさぁ、いざ目の前においしい話がぶらさがってたら、つい食いついちゃったのよ。本当によくなかったわ……」
という過去の反省トークに、戦士のアカトムさんが加わってきたんですが、区切りがいいので次回に持ち越しましょう。
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