レベル1からレベル5までしかいない低レベル女の子パーティーなんですけど、ダンジョン配信を始めたら冒険の収入より広告収入が上回りました
第1話 まずは自己紹介から。私の名前はユーリュー、職業は遊び人です
第1話 まずは自己紹介から。私の名前はユーリュー、職業は遊び人です
ダンション配信のきっかけを語るためには、約一か月ほど前にさかのぼる必要があります。
当時の生活状況から触れるとして、ついでに私たちの自己紹介もしていきましょう。
まず私から。名前はユーリューです。性別は女の子なんですが、よく男の子に間違えられます。原因はわかっています。
背が高くて、顔のパーツが凛々しいタイプで、ショートカットの髪型と黒ぶち眼鏡が似合っていて――そしてなによりも貧乳だからです。
はー、貧乳は基本的に損ですね。男子にちやほやされないし、あまりにも小さすぎるとドレスも似合わないし。もし私の胸がもう少しだけ大きかったら、あれこれ得する場面もあったでしょうに。
さてそんなボーイッシュな私ですが、職業は遊び人です。
いやギャグじゃなくて、本当に遊び人という職業で冒険者ギルドに登録されています。
だから装備は遊び人用のジャンプスーツで、得意技は手品です。それといって得意な武器はありません。重たい防具も装備できないですし。
なかなかふざけた職業ですが、私の求めているステータスである運の値が一番高かったので、これを選びました。
戦闘向きのスキルなんて持っていない職業ですが、私は前向きに考えています。だって遊び人は、高レベルになると賢者に転職できますからね。
というわけで、明るい未来を目指して、野宿の準備でもしますか。
そう、野宿です。
私たちは、中継都市ハーギヤという交易の中継地を冒険の拠点にしているんですが、うちのパーティは貧乏なので、宿に泊まるお金がないんですね。
だからといって都市の内部で野宿をすると、公共空間の税金を払えと役人がうるさいので、外壁の外で野宿しないといけません。
というわけで、私たちは外壁沿いに陣取ると、四人で手分けして、野宿の準備を始めました。
私の役割はテントの設営です。手ごろな石ころをトンカチ代わりにして、テントの杭を固定していきます。
額に汗しながら野宿の準備をしているとき、都市の内部から料亭で提供しているコースメニューの香りが漂ってくると、実にイラっとします。
ですが料亭が悪いわけじゃなくて、お金を持ってない私たちが悪いんですから、じゃあ置き引きとか、スリとか、当たり屋でもやって一儲けしようかなぁ、と心の中の悪魔が騒ぐわけですよ。
しかし犯罪に手を出したら、もはや冒険者ではなくて、山賊の亜種なので、ぐっと我慢しましょう(ただし冒険者になる前に、複雑な事情があって、やむなく当たり屋をやったことは白状しておきます)
とにかく大切なことは、心の内側に溜め込んだ怒りと不満を『いつか絶っっっ対に成り上がってやるから覚悟しとけよ!!!!』と気合に変換することです。
なんて偉そうなことを言いましたが、私たちは住所不定無職なので、地元住民にしてみれば、怪しい連中なわけですよ。
となれば、地方都市の衛兵が、見回りにやってきました。
「そこのお前、こんなところで野宿するんじゃない」
私の本音としましては『うるさいですねぇ、国王の犬風情が。私たちがどこで野宿しようが勝手でしょう』と言いたいところです。
しかし、それをいってしまったら、最悪豚箱行きですし、そもそも彼だってお仕事で巡回しているわけですから、もっともらしい言い訳をすることにしました。
「衛兵さん、私たち貧乏な駆け出しパーティーなんです。路銀が底をついてしまって、宿に泊まるお金もありません。どうか見逃してください、およよよ~……」
手品で鍛えた小技により、衛兵から見えない角度で目薬を取り出して、己の目玉に数滴――およよよ~と泣いたフリをしました。
私ってば、遊び人らしく演技派ですね。
さて衛兵なんですけど、どうやら私の演技が突き刺さってしまったらしく、やや困った顔をしてから、ため息混じりで巡回に戻りました。
やりました! 私の演技で国王の犬を追い払いましたよ!
えっへん、私ってば偉い。
さて、私の担当であるテントの設営は終わらせたので、あとは仲間たちが担当した仕事が終わるのを待つだけですね。
噂をすればなんとやら。仲間たちが続々と戻ってきたわけですが、彼女たちの紹介は、次回に持ち越しですね。
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