第4話 戻りましょう
マリッサの言葉を遮るようにララバルトがマリッサの名を呼んだ。
「マリッサ嬢。パーティで出会って、一目惚れした。
我が屋敷でも楽しんでいたではないか。
王女など見限りマナマイト帝国に来ぬか」
「そうだ。マイトやハガトもアリストリス王国を見限りマナマイト帝国に来い」
『あり得ない(わね)』
「「何ぜだ!!」」
最強戦力を手放したくない親子は叫んだ。
「だって未来のない何処に居ても不幸なだけじゃん」
「未来がないじゃと!!転移魔法陣があるのだ。
王都に攻め込めば……」
「バカじゃねえの」
ラナトスの言葉に被せるようにハガトがそう言った。
「皇帝である私がバカだと!!」
バカと言われラナトスが怒りを露わにした。
「独立して敵国になったんだから転移魔法陣なんて破棄されているに決まってるじゃん」
「そうだな。今はまだ大丈夫だが私達が移動したあとは聖女も居ませんから魔物が押し寄せるかもしれませんよ」
「兵団が居るのだから心配されずとも魔物の対処は大丈夫だ。
ここは他の辺境伯領に比べて近年、森から出てくる魔物の数が少ないのだからな!!」
「あぁ、わかってないんだな。他の聖女より力のある王女殿下が聖女として派遣されていたから他の辺境伯領より魔物が少ないんだよ」
別に構わないけどマイトもハガトは喋り過ぎじゃないかな。
「じゃあ、さっさと行こうよ。マリアンヌ王女殿下」
「ハガト言葉使い」
「いいのですよ。乳姉妹で専属メイドのマリッサにもハガトくらい砕けた感じで私と話してもらいたいですわね」
「そのご希望に沿える事は出来かねます」
「マリッサ嬢。ハガトとあなたの関係は……?」
「ハガトは私の弟です」
「王女の専属メイドが裏ギルドマスターの姉」
「我がフラックス侯爵家はアリストリス王家に忠誠を誓い王家を護る裏貴族の一家ですから特に問題もないかと」
「それに裏ギルドと王家の繋がりをアリストリス王国の貴族や他国に言うとか言ってたけど貴族でも知っている者は知っている。
他国でも王家や帝家と真っ当な裏ギルドは似たような関係だから意味ないと思うぞ。
それがどうしたってバカにされるだけだ」
「ルシア行くわよ」
マリアンヌが名を呼ぶと真っ白なフェンリルが森の中から現れた。
「聖獣様も連れて行くのか?」
「聖獣だと……」
「王女殿下は聖獣であるフェンリルと契約しているんだよ。
聖獣ルシア様も魔の森で強力な魔物を間引いてくれていたのだ」
私が止めないからか、色々と情報を話し過ぎだけどマナマイト帝国は今後それどころじゃなくなるし、脅威ですらないからいいか。
「取り敢えずはルシアも連れていくわ。マナマイト帝国の皆さんご機嫌よう」
そう言って私達は王城に転移した。
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