第19話 輸血が怖い症候群
ある日、テレビである病院で輸血の間違いがあったと報道された。
朝の引き継ぎの時に師長から、忙しい業務だからこと間違いのないように確認をしっかりするようにと言われる。
仕事は色々ありますが、失敗から学べばいいなんて言われますよね。
私達には失敗🟰ミスをした。
ミスは許されない世界です。
いいわよ、このミスから学んでいこう!
なんて、言う事はありません。
だからと言っても人間ですから、ミスが無い訳ではありません。
輸血ミス。
当時、消化器内科にいた私のところは
日々、輸血(全血、血漿、血小板など)を
行っている患者さんが見えました。
ミスしてはならない。輸血ミスは命に即決している。
慎重に輸血の血液型とロット番号、交差検査とを見合わせる。
合っている。
大丈夫。
そう思って、交換に患者さんの部屋の前まで行くのですが、、。
間違えてないだろうかと言う猛烈な不安が襲ってきます。
詰所に戻ってまた、確認。
そして、患者さんのところへ。
いざ、交換しようとすると手が震えて
間違えているのでないか?
また、戻る。
そうして、もう、どうにも輸血の交換が恐ろしくて出来なくなりました。
みんな、忙しいんですが、何人もの看護師に頼んでチェックしてもらいます。
その頃、家を出る時に、電気やガスを何回もチェックしても不安で遅刻しそうになっていました。
眠れなくなりました。
眠くないのです。
気分だけはハイで、じっといていられません。
眠剤を飲んでも効かなくて。
オーバードースをしましたが、全くダメでした。
10日間、全く眠れないまま三交代をしました。
体重がどんどん落ちていき、様子のおかしいのに婦長が気づいてくれて、心療内科の医師にかかり、大量の薬と二週間の診断書が出ました。
入院を勧められたのですが、何せ自分の病院です。
気を使うので、一人暮らしの部屋に戻りました。
処方された薬を飲んだら、ズドーンと気を失いました。
そこからは目が覚めたら、薬を飲んで寝るだけの生活をしました。
3日間くらい眠り続けて、目覚めた時には
世界が変わって見えました。
25歳の時でした。
たぶん、新人でもなく、中堅までの力も無い。
求められる事は増えていき、出来て当たり前の
世界なので、必死になっていたのだと思います。
それから、30代で外来勤務になった時。
予約でも無いカルテが回ってくる事に気付きました。
名前を見ると、看護師です。
処方は抗不安剤、眠剤でした。
みんな、緊張に押しつぶされそうになってるんだなって思いました。
今は、手首に患者さんのバーコードと点滴や輸血、採血など合致しているかで確認できるようになりましたね。
これは、かなりの看護師の精神的普段を
減らしてくれてるんじゃないかと思います。
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