第16話 大名行列
これは、学生の頃の市民病院での実習の話です。
ありました、大名行列。
その日は、朝っぱらからナースステーションは緊迫した空気です。
得に鬼の婦長さんがピリピリ。
「いい!今日は部長回診の日なんだから
学生さんは邪魔しないように、どこかに散りなさい!!」
散りなさいって、、。
仕方ないので、リネン室に隠れていました。
まず、部長先生様が来るまでに、病棟全体に
やかましいくらいに、患者さんはトイレを済ませてベットにいるようにアナウンスされます。
そして、看護師は各部屋を巡り、患者さんの
パジャマのボタンを外し、すぐに体が診られるようにしておきます。
寒かろうが、掛け布団なんてかけてはいけないのです。
ここは手伝いをしました。
やりながら、とても嫌な気持ちになります。
そして、これ以上、反りかったら後ろに倒れるだろうと言うくらいの偉そうな感じで
手は後ろに回して部長がやってきます。
部長の横には鬼の婦長。
その後ろには、ゾロゾロと医者が。
散りなさい!!と言われても、興味は止められない。
コッソリと覗きに行きます。
うわーっ、白い巨頭どうりだ、婦長は患者さんのパジャマをさっと開く。
そのままで、部長先生様は担当医に説明を聞く。
「レントゲンはあるかね?」
すぐさま、担当医はレントゲンを差し出します。
「血液検査は?」
ぱっと、カルテを開いてお見せします。
「うんうん。
大丈夫ですよ。」部長先生様はそんだけ患者さんに言う。
この時、患者さんは
「ありがとうございます」と言わなければならない。
なんじゃこれ。
アホらしい。
私は絶対にこの病院には就職しないぞ!
と思いました。
私の選んだ病院でも、部長回診はありました。
一応、アナウンスはします。
部長回診は部長と婦長だけ。
しかも、患者さんはいつもどこかに行っちゃっていない。
「ねぇ、何とかさんがいないんだけど、
探してくれない?」婦長
「あー、胃カメラです。いません。」
「先生、胃カメラですって。」
「そっか、胃カメラか。
じゃあ、また午後からでも声かけるか。」部長
「何とかさんもいないんだけどー。」婦長
「あれ?売店かなぁ。探してきまーす。」
「ちょいと何とかさん、今日、部長回診やってるんですよ、病棟に戻って下さいよ。」
「わかった、ちょっとコレ買ってから戻るからさ。」
「じゃあ、そう言っておきますから、宜しくお願いしますね。」
「先生、何とがさん売店にいました。
雑誌買ったら、戻ってきますー。」
「そっか。じゃあ、後でにするか。」部長
こんな感じでした。
これはどこの病棟でも同じでした。
私はこの病院が好きでした。
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