第13話 アルコール依存
私が消化器病棟にいた頃のお話です。
ここには、アルコール依存で肝臓を悪くした患者さんも多くおられました。
なので、入退院の繰り返しの方なんですね。
もう、長いお付き合いです。
ある夏の夜勤の時に、
「おしたしちゃん。
暑くてさ、頭痛いよ。氷枕をくれないかなぁ。
眠れないんだよ。」
「大丈夫ですか?
頭はどこが痛いんです?我慢できますか?
血圧や体温測りますね。
いつもと同じですね。
先生に頭痛薬を聞いてみましょうか?」
「いや、いい。とにかく、氷枕がいいんだ。」
ふーん。バイタルも変わりないし、苦痛様顔貌もあるわけじゃない。
顔色も普通。
「じゃあ、氷枕を作りますね。」
「おしたしちゃん、氷多めで水はあんまり入れないでくれよ。すぐに溶けちゃうからさ。」
うーん。これも氷と水の配分があるんだけど
確かにこの暑さじゃ、すぐに溶けちゃうか。
氷多めにしておきますか。
「頭が痛くのがひどくなったり、気持ち悪くなったり、手足が痺れたりしたら、すぐに教えてくださいね。」
「あー、わかった、わかった。
ありがとよーー。」
この夜勤(準夜勤)の後。
翌日の勤務に行ったら、、。
あの患者さん、氷枕の氷を取り出して
六人部屋で宴会をしていたとわかりました。
私は笑いが止まりませんでした。
そこまでして呑みたいのね。
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