第3話 呼吸器病棟

看護師になり

病棟は呼吸器内科に配属されました。

その頃、どこの地域でも工場から出される

二酸化窒素による喘息が問題になっていました。

喘息の患者さんが多くいらっしゃいました。




呼吸器になれば、肺の呼吸音の聞き分けが

できないとどうにもなりません。


肺炎、喘息、肺がん、肺気腫、気胸、胸水のある無し、肺水腫など。

疾患によって、呼吸時の音が違うんです。

それを聞き分けて、良くなっているのか?

悪くなっているのか?

の判断が求められます。


私はたまたま、呼吸器の医師からカセットテープの呼吸器の聞き分けを借りることが。できました。

それを毎日、毎日、要するに耳で覚えさす訳ですね。


あとは、やはり、経験です。


たくさんの患者さんの胸をお借りして

自分のものにするしかありません。


例えば

喘息の方の場合、

軽い発作なら呼気時にヒューヒューと

音がしますが、重い発作になるとギュウーギュウーと搾り出すような音に変化します。


肺炎の場合、

炎症の起こっている場所は呼吸音が聞こえませんか弱いです。


肺水腫の場合

肺に水が溜まっているため、呼吸時、

ズボズボ、ゴボゴボしたような音がします。


胸水が溜まっている場合、

座位になってもらうと、胸腔の下へと胸水が溜まりますから、肋骨下部あたりの呼吸音は

ほぼ聞こえません。


肺がんの場合、

腫瘍のある部分の音は聞こえにくくなります。



看護師にとって聴診器は飾りじゃないんですね。

この聞き分けができると、異常の早期発見、

医師への報告、適切な対応へとつながる訳なんです。


いつも思うのですが、私がこうした技術を

身につけられたのは、たくさんの患者さんが

教えてくれたからだと思っています。

感謝しかありません。






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