新年ノ章 ご挨拶 1
翌朝、一九は布団をかぶって、うーうーと
「あたま、いたい……」
昨晩、雪を
普段の一九は、酒を
布団で唸り続けていると、鎌鼬がひょっこりと一九の部屋に顔をだした。
「一九、大丈夫? じゃなさそうだね」
「う~……」
鎌鼬は持っていた土鍋を、一九の枕元に置いた。
「
「ありがたいですが……しょくよくは……ない……です……」
「食べなきゃ薬が飲めないでしょ。ほら起きる!」
がばっと
鎌鼬が土鍋の
「はい。少しでもいいから、食べな」
「ありがとう、ございます」
一九は礼を言って、ふーふーと息で冷ましながら、少量を口に含んだ。
「
一九は「はぁ」と感動で目尻に涙を浮かべながら、黙々と匙を動かして器に盛られた分を、あっという間に食べてしまった。
「なんだ。食欲あるじゃない。もっと食べれそう?」
「はい。いただきます」
結局、一九は土鍋にあったお粥すべてを食べきった。
「ほら、薬」
「ありがとうございます」
一九は鎌鼬から差し出された
「にっが!?」
「そりゃそうだよ。
一九は、水で一気に苦い薬を流し込む。それを見ながら、鎌鼬は土鍋を持って立ち上がった。
「一九。これから忙しくなるから、一九の相手はしてられない。だからおとなしく寝てな」
「何かあるんですか?」
「里のみんなが、頭領に新年の挨拶に来るんだよ」
「ならその光景を瓦版にしなくては! いった……」
「大声を出すからだよ。馬鹿じゃないの」
自分の出した大きな声で苦しむ一九を見て、鎌鼬は呆れる。
「しんどいんでしょ? 休んでなよ」
「そういうわけにはいきません。新年の挨拶も立派な年中行事の一つ。瓦版にしなくては」
「わかったわかった。頭領たちの準備が終わったら、呼びに来るから。それまで休んでな」
「すみません。お願いします」
鎌鼬は肩をすくめて、部屋を出て行った。
一九は頭に響かないように、ゆっくりとした動作で着替えをすました。ふうっと一息ついていると、だんだんと頭の痛みがとれていくのを感じた。
「
見越のそばで仕事をさせてもらうために、仕事道具をまとめ始めた。
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