春ノ巻 穴見と花見 1
「一九と言ったな。これを持って帰れ」
見越入道から里を出る前に、一九は首から下げられる小さな
「これは、
「うむ。行事の時に文を送る。その時は、
「わかりました。ありがとうございます!」
そう礼を言って、一九は匂い袋を首から下げた。
そして、一九は桜咲き
「一九の話が本当かどうかは別として、ネタが決まったなら、
「本当のことですってば!」
信じようとしない蔦屋に、一九は不満そうに口を
「妖怪の、頭領は、
文章を書き終えた一九は、
「うん、いい出来ね。絵も
「はい」
一九は完成した原稿を、兄弟で営む版木屋、
「こんにちは」
「いらっしゃいませ!」
「お。一九先生、らっしゃい」
一九を
「今日は、この瓦版を100部
一九は持っていた
「一九先生、今度は瓦版を書くんすか?」
「重三郎さんに言われて、瓦版形式で物語を書くことになったんです。人気次第で瓦版で
「へぇ。そいつは面白いっすね!」
兄の右京は、一九から原稿を受け取ると、弟の佐吉が兄の持っている原稿を
「なになに? 箱根の先に妖怪の里を見つけたり。一九先生、妖怪ものの話を書くんすか?」
「えぇ。そうです。でも、普通のものとは違いますよ。
「それはまた変わったお話ですね」
「もし売れなかったら、どうなるんすか?」
「それは
どよ~んとした空気が、一九にまとわりつく。右京は弟の佐吉に「余計な事を言うな!」と
「と、とにかく、仕事はお受けします。明日には完成しますので、お店までお持ちしましょうか?」
「はい。お願いします。代金はこちらを」
一九は原稿を預けて、代金を支払い、店を後にした。
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