ライブ・ラジオ・リンクー20
この曲は、言い出したカーリーがまず歌詞を書いてきた。
俺たちの曲には珍しく歌詞先行だった。
小さなフィンチの巣立ち。
雛への応援歌。
カーリーが書いてきた物は、思い描いていたイメージと違った。
これが、コイツの母性ってやつなのか?
『君はまだ小さく、弱く、未熟だ』
から始まる。
『君の視線の先の世界は、
過酷で、険しく、死と隣り合わせ』
『王者となれる地を獲得する為
五感を研ぎ澄ませて常に警戒を怠らず
時には仲間と致命傷を負わせ合い
声が出なくなるほど叫び続ける』
『一度の気の緩みが死を招く
一度の失敗が死を招く
生き延びても王者になれないこともある』
『強くなれ!
生き延びろ!
そして、
その鋭くなった眼光を見せつけろ
その逞しくなった骨格を見せつけろ
その大きくなった翼を見せつけろ
私は、その姿をただ見送る
私は、君の生き様をただ見届ける』
カーリー曰く、
「自然っていうのは過酷なんだよ」
そんな歌詞を、3人で表現を変えたりして、応援歌風にした。
緊張感と深すぎる愛が怖いほどであると共に、
その恐怖に打ち勝った者への応援歌になればという曲だ。
言い出しっぺが、その曲の主導権を握る。
カーリーがキーボードのフレーズをループさせ、俺が単純なドラムとベースでリズムをループさせる。
そこに、ショウのギターを何重にも重ねループさせる。
これだけでも充分一曲になる。
でも、そこにもう一曲載せるようなものだ。
当時の俺たちが大好きなてんこ盛りの一曲だ。
ライブで演る時は、プログラミングを利用する。
でも、一度だけ、そのループの工程をライブで披露したことがある。
俺とカーリーが、キーボードの前に座り、リズムとキーボードのパーツを作りループさせる。
ショウが、2回に分けてギターのフレーズを、ループペダルで録音しループさせる。
そして、
ショウが、
『君はまだ小さく、弱く、未熟だ』
と、しっとりと歌い出す。
その間に、俺とカーリーは散り散りに持ち場に戻り、そして爆音を放つ。
大きな箱だったので、動きがあるとウケる。
ショウのツアー最後となった、フランスでのライブだった。
それ以来ライブでは演っていなかったが、このアルバムの中では一番セールスを上げている。
ーRayー
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