ライブ・ラジオ・リンクー9
「今もそんなに尖っていて、俺なんか喋っても貰えるのかって震えたよ。
紹介された時も、3人とも表情一つ変えず『どうも』って握手だけ。
でも、俺達の曲を知っててくれて、俺は嬉しかったのよ。
テーブル用意してくれて、一緒に飲むことになったのよ。
そしたら、テーブルにおびただしい数のショットグラスが出てきて、テキーラを注いでいくわけ。
俺にも「やります?」とか聞いてくるから、俺は一杯だけお付き合いしたの。
喉焼けました。
そしたら、3人共3杯立て続けに喉に流し込んで、ライムを口にするのよ。
平然と。
そして、『言うの忘れてたけど、喉潰れますよ』って、ちょっといたずらっぽい笑みを浮かべるわけよ。
カッコいいなーって惚れちゃいましたね。
『12年前俺達のデビューのきっかけになったコンテストに一緒に出てた』って言ったら、少し考えてる様子だったけど思い出してくれて、食い付いてきてくれたわけ」
その後、俺たちの出会いの話をし、一緒に飲んだ時にも話していた熱い話をした。
「その飲み会の後、突然思い出したんだけど、
俺達は3組目だったから、終わった後は余裕で他の組を控室のモニターで観ていたのよ。
そしたら、そこに高校の制服を着た子達が、数人の大人たちを引き連れて入ってきたのよ。
それぞれ違う制服で、ひとりは女の子。
で、上着を脱いで、シャツのボタンを少し外したり、パンツやスカートから出したり、ネクタイを緩めたり外したり。
女の子が緊張しているのか、『オエッ!』って、えずくのよ。
それを男の子たちが、
『それやめろよ!』とか『伝染るんだよ』とか怒るわけ。
でも、結局3人とも『オエッ!』『オエッ!』って。
その時、俺なんか微笑ましさを感じていたんだと思う」
食事をしながら聴いていた面々から笑いが起こる。
そうだった。
あの時俺たちは、初めての大きな箱に緊張していた。
「その子達は最終組で出ていったのよ。
さっきまでの微笑ましさが一気に消えた。
とんでもない奴らだった」
ーShowー
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます