ライブ・ラジオ・リンクー8

 四宮さんは、俺たちの酒のペースに乱されて、かなり酔っていた。

カーリーは授乳していたこともあり、しばらくお酒は飲んでいなかったせいか、かなりご機嫌になっている。

いつの間にか、四宮さんを「涼ちゃん」とか呼んでいる。

まあ、俺達も「涼介」と呼び捨てだが。


結局、一緒に来ていたマネージャーに電話して迎えに来てもらうことになった。

その帰り際、


「俺ラジオやってるのよ。

今度ゲストで来てよ」


「俺たち喋りませんよ、尖ってますから、あはは…」

「酒でもないと無理無理、あはは…」


「今度のラジオで今日のこと喋ってもいい?」


「俺たちのイメージ壊さないでくださいよ、あはは…」



四宮さんは、マネージャーに抱えられて帰っていった。



 数日後、練習場でぐっさんが、


「お前ら、昨日のラジオ聴いたか?」


「あー、昨日だったんだ」

「深夜なんて無理だよ」


ぐっさんが、アプリでラジオを聴くことができると教えてくれた。

その日の練習後、レイちゃんの家で夕食を取りながら聴いた。


「皆さん、Scream Of No Nameっていうバンド知ってますか?」


いきなり、そのフレーズから始まった。


「SNSにもあげましたが、彼等にやっと会えましたよ。

半年かかりました。

現在活動休止中なんですが、でも小さなライブハウスでライブやってて、チケットがすぐ完売で取れないんですよ。

で、今は申込順の予約制で、半年待ちなんですよ。

外国からも申し込みがあって、俺が行ったライブは四分の一が外国の方でしたよ」


興奮気味で話す四宮さん。


「今や、日本より海外で有名かもしれない。

たぶん、みんなも知っていると思う。

CMやテレビでも流れるから」


そう言って、『Scream Of No Name』を流してくれた。


「チケットの予約をして、ライブの日が近付くにつれて、どうしても彼等に会いたいと思って、ライブハウスのオーナーさんに連絡を入れたのよ。

どうしても会いたいから、俺はこの名前を使ったわけよ。

そしたら、オーナーさんが、俺のことを知っていてくれてて、紹介はしてくれるって言ったのよ。

でも、その後は俺と彼等次第だって言うわけ。

何故なにゆえアイツ等尖ってますのでって言うのよ。

そう言う方も言われる方も、カッコよくない?」


ぐっさんがニヤリと笑った。



ーShowー


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