美由紀の事情ー9

「ひとりで対抗できる相手じゃねえだろう」


「パパさんが生きている頃、弁護士さんを紹介してくれたから、その人を頼るわ。


それと、杉崎くん。

あなたとは距離を置きたいの!」



 その後すぐ、俺は距離を置かれた。


事務所での雑用の仕事から、最近会社で始めた新しい部署に転属になった。

厳しくなりつつある運送業者の小遣い稼ぎ的な部署だ。

その名も、軽トラ部隊だ。


さらに、美由紀と子供達は、毎日夕食時にはやってくるが、そのほとんどが他の社員を交えての食事会とか、バンドメンバーとの食事会という形になった。


俺たち母子と美由紀と子供達だけで過ごすことが少なくなった。

有希は、誰がいても俺にベタベタだが、

有紗は、他の人がいると緊張している。



 俺は、自分の激情のせいで、美由紀と子供達から安らぎを奪ったのかもしれないと思って、自分を責めた。


そして、毎日夕飯を食べていることで、いつの間にか、彼女達が俺の中で家族のような存在になっていたことに気付いた。



ーRayー



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