美由紀の事情ー6

 有希を俺の部屋のベッドの下に布団を敷いて寝かしつけ、リビングで風呂上がりのママを捕まえて、話をした。




 美由紀が、うちの会社の募集を見て応募してきたのは、4年程前。

まだ、親父が癌も見つかっておらず、元気な時だった。


子供をふたり抱えていたが、前の会社でも同じ業種で経理をしていて、そこの社長の推薦もあり、初めのうちは試用期間としてパートタイマーで雇ったということだ。

子供たちが時々熱を出したりして休んだりもあったが、仕事もできハキハキしていたので、みゆきの希望通り3ヶ月程で社員にした。



 親父は元気だった頃、よく会社の社員やバンド仲間と、外でBBQをしたり、家で食事会をしていた。


ママは大変だったと思う。

でも、あの人はどこかしらそういう魅力を持っているのか、女性社員や時には若い男性社員が進んでお手伝いを買って出てくれる。


そんな中に美由紀はいて、何でもそつ無くこなしていたらしい。

あっという間に、ママのお気に入りになった。


 美由紀はサバサバ系で、愛想もない柄も口も悪いドライバーさんとも、なんなく打ち解け、頼りにもされている。


社長の息子で、何も出来ないくせに生意気で呼び捨てでタメ口でタチの悪い俺にすら、アメとムチを使い分けなんとかしようとしてくれている。



そんな美由紀が、あんな夫で悩んでいたとは。



ーRayー



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