美由紀の事情ー5
男が帰った後で、さすがの美由紀もへたり込んだ。
子供達が部屋から泣きながら出てきた。
有紗は美由紀に、有希は俺に抱きついてきた。
「大丈夫か?
お前の夫とやらは、いったい何しに来たんだ?」
そう言う俺を、ママが制止した。
「レイちゃん、子供達を連れて先に帰ってて!」
俺を締め出す気か?
不機嫌極まりない顔をしていたであろう俺を尻目に、美由紀がこう言った。
「ママすぐ迎えに行くから、レイお兄ちゃんの家で待っててね!」
有紗は泣いて嫌がった。
美由紀が優しく諭す。
俺は、子供達を連れて家に帰る。
有紗が俺の手を握ってきた。
家に着いても、こんな状況で子供達とどうすれば良いのか考えも及ばない俺は、とりあえずテレビを付けた。
普段観ないようなできるだけ楽しげな番組にする。
「ジュースでも飲むか?」
「お菓子でも食うか?」
この俺が、子供に気を使い和ませようとしている。
ソファに3人で座って、テレビを観た。
しばらくして、有希は少し笑い声が出るようになった。
有紗は俺にくっついて緊張したままだったが、しばらくして眠ってしまった。
そんな有紗をソファに横にして、ブランケットをかけてやった。
一時間ほどして、ママと美由紀が帰ってきた。
子供達を連れて帰ると言ったが、有希は泊まりたいと言った。
「お前も泊まっていけばいいだろう」
と美由紀に言ったが、
「それはできない。
今日は、有紗も夜泣きするかもしれない」
と言って、有紗を連れて帰ると言う。
結局、俺が眠っている有紗を抱えて、また美由紀の家に戻った。
「あなたにだけは見られたくなかった」
「事情を説明しろよ!」
そう言っても、美由紀は始終無言だった。
「明日も学校だから、朝早く迎えに行くから」
そう言って、有希のパジャマを持たされた。
ーRayー
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