18歳の頃ー9
TAKAさんと宇多川さんがいない時には、自分たちでどんどん好き勝手にレコーディングをしていく。
とにかく、音に音を重ねて、深みを出したくなる。
TAKAさんが来て、それを削ぎ落とした方がいいと指摘されて、時には削ぎ落とし、時には譲らず、試行錯誤の3ヶ月間。
言い争いになることもあった。
どうにか、先が見えてきた。
TAKAさんは、アドバイスはくれるが、強制はしない。
自分達が、それで辛い思いをした過去があるから、俺たちのやりたい事を優先してくれた。
でも、アドバイスを聞いたからこそ、今の自分達がいるとも言う。
流行に乗っていないのを承知で行くなら、好きなことをやれ!
これは、ボスである八木さんも言う。
その頃の俺たちが、どうしたって折れないのをわかっていたんだろう。
12曲入りのアルバムが出来た。
TAKAさんのバンドが所属するインディーズレーベルからのデビューだ。
ジャケットは、俺たちが高校生の時に作ったMVで使用したライオンの被り物だ。
この時は、カーリーがまだ親にも内緒でバンドをやっていたので、顔出しはNGだと言い出した。
その為、急遽、当時地元のローカルテレビでスタイリストをしていた親父の知人夏美さんに頼んで、被り物を幾つか持ってきてもらった。
その中から、俺たちはライオンを選んだ。
しかし、ここでまたカーリーだ。
「私は女の子だから、オスのライオンはどうかと思う」
と言い出した。
夏美さんが、ライオンの被り物の一つを買い取り、タテガミをハサミで綺麗に落としてメスのライオンにしてくれた。
普段自分から意見は言わないくせに、言い出したら絶対引かないのもカーリーだ。
そんな曰く付きのやつだ。
ーRayー
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