18歳の頃ー6

 風呂上がりのカーリーが、パジャマ姿で、濡れたショートヘアをタオルで拭きながら出てきた。


初めてみる姿だ。


今まで、制服姿か、練習の時のジーンズとTシャツ姿しか見た事はなかったからだ。


 その時、初めてドキッとした。

俺は、ついこの前まで女子高生だった18歳の女の子と、二人きりで、ひとつ屋根の下に泊まるんだ。


 いくら歳は倍離れているとしても、

まだ36歳だ。

カーリーも、(今とは違って)ただのボーイッシュな女の子だった。


 俺は、レコーディングのブースの前に置いてあったソファに、毛布を数枚持ってきて、

「ここに寝るから」と言った。


すると、カーリーが言う。


「遠いです。もう少し近くじゃないと、いないも同じです」


ベッドルームには、ソファベッドがあった。

そこで寝てくれてもいいですと言う。


「マジかよ」


毛布を2枚持ってきて、1枚は丸めて枕にして、ライトを消し、横になった。

カーリーは、俺に背を向けてベッドに横になっている。


 しかし、2時間近く経っても、カーリーは寝返りすらうたずに、その体勢のままだ。

それを見ていた俺も、つまりは眠れない。

結局のところ、カーリーは、今度は、俺が同じ部屋にいる事に緊張して眠れていない。


「カーリー!眠れないんだろ?

俺は、ドアのすぐ向こう側で寝るから。

それなら大丈夫だろ?」


と言うと。


小さな声で「はい」と聞こえてきた。


「これからは、1人でやっていかないといけないんだ。

早く慣れないとな!

俺は、明日東京に帰らないといけない」


でも、心配は無用だった。



ーYagiー


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