欲望なの?愛なの?ー14

 お互いの気持ちも充分話せぬまま、答えもこれからの方向もわからぬまま、私はシャワーを浴びて、早くにベッドに入った。


涙が止まらない。

時折、体を起こして、鼻をかむ。


ルーは、明日の帰国の準備をしている。


シャワーを浴びて、伸び切った髪の毛をドライヤーで乾かして、リビングのライトを消す。


「泣かせて、ごめんな!」


と言って、私の背中を抱いて横になる。


久しぶりのセックスのない夜。

添い寝だけだ。



 

 翌朝、果穂ちゃんが、ルーにお別れを言いにきた。


9時頃、ショウくんのママが、ケイトを連れてきてくれた。

少しでも、ルーと過ごさせてあげたい。


レイちゃんは仕事、ショウくんは唄のリハビリ。

気を利かせているつもりだろう。


 お昼前、オスカーが迎えに来た。

ルーは荷物を持って、家を出る。

エントランス近くに停めてあるタクシーにスーツケースを乗せる。


ケイトをしばらく抱きしめて、キスをする。


「Je t'aime」


そして、私の唇にキスをする。

今までの様なキスではなく、寂しさが増すだけのキスだ。

そして、私たちをきつく抱きしめ、手を振って背を向けた。


ケイトは、にっこりと「バイバイ」と言った。

もう会えないかもしれないのに。


私たちは、終わったの?


元には戻れないの?


タクシーが走り出すと、私は泣き崩れた。


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