欲望なの?愛なの?ー11

 でも、それは突然やってきた。



 自動車免許を取得したその日に、私が欲しかった国産の真っ赤なコンパクトカーが納車された。

ベビーシートも付けてもらって、3人でよくドライブに出掛けていた。


 その日は日曜日。

私は、車でレイちゃんの家に練習に行っていた。

ケイトは、ルーと留守番だ。

いつもなら、2人とも練習場に来て、レイちゃんの家で一緒にご飯を食べる。


この日は、なかなか来ない。

私は迎えに行く。


ドアを開けると、アイツがいた。

ルーのお父さんが付けたルーのお目付け役。

オスカーだ。


ルーは、頭を抱える。

オスカーは、私を冷ややかな目で見る。


そして、フランス語で話し出した。


「彼女には、何も言っていないのか?」


「俺から話す」



「ねぇ!なんなの?

私だって、それ位のフランス語ならわかるよ」


私は、大声を出す。

ルーは、顔も上げずに、こう言った。


「映画の話が動き出した。

明日、フランスに帰る」



私は、家を飛び出し、車に乗って、レイちゃんの家に戻った。

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