母と娘ー14

 「浩輔こうすけくんの家に行ってもいい?」

と、私が慌てて言うと、


「あのー、僕には何が何だかわからないんだけど」


「後で説明するから」


そう言って、おじいちゃんが亡くなった時に名義変更して貰った軽自動車に、荷物をまとめて乗り込んだ。


姉はフラフラで歩けない。

八木さんは慣れた手つきで、姉をお姫様抱っこ。

浩輔くんの家に向かった。


 浩輔くんの家は、2DKで、まあまあ片付いてはいる。 

ベッドの下に布団を敷いてくれた。

姉を、そこに寝かせる。


八木さんは、ケイトの紙オムツを変えたり、ジュースを飲ませたらしながら、姉に何があったのか聞いている。

姉は答えないで、泣くばかり。


 浩輔くんが、こんな時間だし、何か食べるものでも買ってくると言ってくれた。

何も聞かずに、気を利かせてくれる彼氏に感謝しなくては!


 でも、ついにその時が来たのかもしれない。

浩輔くんに話さないでいた家族の話をする時が。


 父から電話が来た。

私の家の近くの交番から電話が来て、母を迎えに来て、これから帰る。申し訳ないと。

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