帰国〜八木ー2

 あの異常な痩せ方とフラフラ歩く様は、そんな風に見えるのかもしれない。

久しぶりに会った姉がそんな風では、警戒するのも当然だろう。


「違います。ご安心下さい。

薬物に手を出したらバンドをやめさせるという誓約書も書かせてますから」


「どこが悪いんですか?」


「あの子は、もともと食が細いうえに、何かに夢中になると食べることを忘れてしまう傾向にあって、食事を摂らせるのが大変でした。

果穂さん、あなたはどうですか?かなり痩せてる」


「そんなことはないですけど」

と言いながらも、下を向いてしまった。


「ここ1年くらい、レコーディングにライブにと忙しかった上に、精神的に辛いこともありまして」


「話すと長くなるので、症状で言うと過労と精神面が要因と思われる栄養失調と貧血です。

今は、回復傾向にあります。」


「そんな状態で、一人で子供を育てられるんでしょうか?」


「しばらくは、私と黒川が交代で、あの子の面倒は見ていくつもりですが、果穂さんにも協力していただきたいのです。」


「あのー!私、姉の事何も知らないんです。」

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