帰国〜八木ー3

 「年に1、2回メールが来てたくらいで、 

私、姉が、中2から5年間ロックバンドをやってたことも知らされてなかったし、

家を出てからも、我が家では、姉の話題はタブーだったし、

バンド名も知らないから、曲すら聴いたこともないんです」


「そうでしたか!」


「急に帰ってきて、しかも子供がいて、面倒見てくれって言われても困るんです。

私まだ23歳で、就職したばかりで、病気の姉と小さな姪っ子の面倒見るなんて無理です」


「そうですね。

あなたに、そんな風に思わせてしまって申し訳ないです」


「妹さんとして付き合っていただければというか、あの子に家族がいるんだって実感させてもらえれば、たまに会ってもらえればと思いまして!

あの子も、もう26歳です。

自立を条件に、日本に連れてきました。

果穂さんのペースで会っていただければ」


「ひとつだけお願いしたいのは、最初のうちだけ、果穂さんのアパートの近くに住まわせてもらえればと。その方が、あの子も安心するかと思いまして」


「やってみますけど」


「ダメだと思ったら、遠慮せずに言ってきてほしいです。本人にもはっきりと言ってやって下さい」


「わかりました」


「ところで、どうして日本に帰ってくることになったんですか?」




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る