帰国〜果穂ー10

 姉の泊まるホテルに着いたのは、22時近かった。

住むところが決まるまでの間のホテル暮らしだと言っていたのに、結構お高いホテルだ。


 ケイトも姉も疲れ果てているので、ホテルのバーが空いているということで、私はそこに八木さんから誘われた。


姉とは結局何も話せないまま、その日は別れることになった。


「ごめんね!果穂ちゃん!

また会ってくれる?

それと、おばあちゃんに会いたいの!

連れて行ってほしい!」


と、泣きながら訴えてきた。


「毎週土曜日に、おばあちゃんのお見舞いに行ってるから、一緒に行く?」


と聞いたら、姉は嬉しそうに頷き、また泣いた。


泣いてばかりだ。


 明日携帯の手続きをするというので、私の携帯番号を教えた。

ずっと肩透かしの再会で、何もわからないままだ。


ただ、

姉は生きていた。

ミュージシャンぽかった。

可愛い娘もちゃんといた。

ガリガリに痩せて、ふらついていた。

まるで男の子だった。

異様なオーラを放っていた。


また会ってもいいものか迷っていた。

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