帰国〜果穂ー7

「カーリー!妹さんが来てくれたよ!」


 その場の全員の視線が、私に集まる。


 姉がヨロヨロと立ち上がり、私に近づいてくる。

そして、ゴツゴツした指で、私の髪や頬に触れる。


「果穂ちゃん?」


「わからなかったよ!

お化粧してるし、おしゃれしてるし、大人になってる!

全然わからなかったよ」


酷くかすれたハスキーな声で、そう言って抱きついてきた。


本当に酷い声。

細い体に長い手足。


あの頃から、

こんなに酷い声だった?

こんなに痩せていた?

こんなに背が高かった?

こんなに男っぽかった?

会えなかった8年間が、重くのしかかってきた。


 姉が、また泣き崩れた。

黒川さんが、そんな姉を椅子に座らせティシュを渡した。

姉は、またぶーんと鼻をかむ。


 そして、八木さんが一人一人を紹介してくれた。


 大きい方の革ジャンサングラスは、姉のバンド仲間のレイ。 

私を、すごい力でハグしてきた。


「やっぱ似てんなー!」


目つきも悪く、口も悪そうだ。


車椅子の革ジャンは、レイのパパ。

車椅子を押していた美人ママは、レイのママ。

革ジャンのおじさん達は、レイのパパのバンド仲間の哲治さんと川口さん。

そして、もう一人の若い革ジャンは、レイの弟のカイくん。


そして、最後に紹介してくれたのが、ベビーカーの中の赤ちゃん。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る