帰国〜果穂ー6

苅原かりはら 果穂かほさんですか?」


怪訝に見つめる私に、こう続けた。


「私、カーリー、いえ、苅原かりはら なおのマネジメントをしております黒川と申します」


カーリー?

マネジメント?

何?


「お姉さんが探していました。 

会いたがっています。

どうか、会ってやって下さい」


 30代後半のシュッとした容姿の黒いスーツの男に促され、姉に近づいている私。


何を話せばいいの?

あの一団の様に、ハグでもすればいいの?

もはや再会の喜びはない。

不安と緊張で倒れそうだ。


 近くまでいくと、姉らしき革ジャンサングラスは、大粒の涙を流しながら鼻をぶーんとかんでいる。

化粧もせず一見男の子みたいだが、面影はある。


お姉ちゃん!


 そんな私の元に、もう一人の黒服が近づいてきた。

黒川さんより少し年上で、優しげな雰囲気を持っている印象だ。


「カーリーのマネジメントの代表をやっております八木と申します。

今日は、お忙しい中来ていただいて、本当にありがとうございます」

何度も感謝の言葉を口にする。


 そして、再会の時がきた。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る