2.ミレイアと共に歩む為に、俺の半身を喚び出す
目覚めてから4年ほどが経った。
あと半年もすると俺は王都の教会へ行くことになる。
5歳までに出来ることをやるとするなら手っ取り早く『アルマディオン』を召喚してしまう方がいいだろう。
あいつももしかすると未来の『アルマディオン』かもしれないし。
俺は、自室に一人でいられる時間に召喚してみることにした。
朝食を終え、先程自室に戻って来たばかりだ。
俺は、右手を左胸に当てる。
「我が内に眠りし宝剣よ。我が呼び声に顕現せよ。『アルマディオン』」
まともに発音できるようになったのはつい最近の事だ。
右手に『アルマディオン』の柄の感触が現れる。
俺は、鞘から抜く様に胸から引き抜いた。
真っ白な片手剣が手に握られている。
重さは感じない。
だが、子供が持つにはいささか長く感じてしまう。
刃渡り90cm。羽根を模した鍔。
柄は、今の俺の手だと4つ分はあるだろうか。
「懐かしい。真っ白な頃の『アルマディオン』だ」
『アルマディオン』は、10年の大戦を経て漆黒に染まった。
少しずつ少しずつ白から赤へ、赤から黒へと。
漆黒に至った時、血よりも赤い鉱石によって長剣へと進化した。
『酷い奴だ。俺をあのような姿に変えるなど』
頭の中に声が聞こえた。
誰の声だ?少年の声だった。
だが、少し偉そうな声音だ。
俺は、辺りを見回す。
だが、周りには誰もいない。
『どこを見ている。レイン』
「お前なのか?『アルマディオン』?」
『そうだ。やっと、俺の声が届いたな』
『アルマディオン』もまた過去にやってきたようだ。
あのような姿と言っていたのは、長剣のことなのか。漆黒な刀身を差すのかはわからないが。
『レインよ。まずは、武器鑑定をしてみるがいい』
俺は、言われるままに武器鑑定をしてみる。
『アルマディオン★
意志を持つ
アビリティ:【ロード☆】【武器鑑定★★】』
そう表示された。
【ロード】?なんだこれは。
『アルマディオン』の隣にある★は見たことがある。
確か、漆黒の長剣になった時には★★だった気がする。
「なんだ?この【ロード】と言うのは」
『お前が、あの日吸わせた血は本来俺を進化させるべき要素ではない。俺を進化させたかったら知識を寄こせ』
「え?」
俺は、もしかして『アルマディオン』の進化すらも間違えていたのかもしれない。
それなら、俺はこれからこいつの未来も変えていこう。
きっと、そうすればあの未来を変えられるかもしれない。
「わかったよ、どんな知識が欲しいんだ?」
『なんでも寄こせ、本を読ませろ』
「本?本か・・・うーん、少し待っていてくれ」
俺は、一度『アルマディオン』を身体の中に戻した。
いつまでも『アルマディオン』を顕現しておくわけにもいかない。
いつ、誰が来るかわからない。
『本はお前が読むときに【ロード】を使えば俺も読める』
『アルマディオン』の声が俺の内側から聞こえる。
なるほど、『アルマディオン』とはこうして話が出来るのか。
『『アルムスディオシス』に、俺も会いたい』
一方的に『アルマディオン』の声が聞こえる。
『アルムスディオシス』は、ミレイアの武器だ。
『アルマディオン』と『アルムスディオシス』は、同じ真っ白な剣だ。
双子のような剣。
「なあ、『アルマディオン』。ミレイアと出会う前に姿が変わると困るんだが」
俺と彼女が出会うきっかけ。
仲良くなるきっかけは、双子のような剣が同じ日。同じ場所で顕現したからだった。
半年後・・・やっと半年だ。
長かった。
でも、よかった見た目は過去の『アルマディオン』だった。
『ならば、出会ってから知識を寄こせ。そして、『アルムスディオシス』にも【ロード】をさせればいい』
え?『アルムスディオシス』も【ロード】が使えるのか?
良くは分からないが、『アルマディオン』が言うなら試してみよう。
あと少しで、ミレイアと会える。
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アルマ・ディオンとアルムス・ディオシス
ラテン語のアルマが男性形、アルムスが女性形で
双子剣として、名前をあえて似せています。
アルマは、ラテン語では「養う」ことで、イタリア語とかでは「魂」と言う意味になります。
【ロード】【リード】
読み込むという意味の『Read』『Load』の事で
生前の
レインの武器鑑定は、タイムリープ後に強化されています。
その為、1周目の時にはアビリティが見えなかっただけです。
『心象武器』←これが正式名称です。
『心象武器』は、最初から【ロード】を持っています。
ただ、誰も知らないだけです。
レイン(4歳)の武器鑑定→武器鑑定★★
レイン(大戦時)の武器鑑定→武器鑑定★☆
一般人の武器鑑定→武器鑑定☆~武器鑑定★☆
☆は0%~99%、★は100%の熟練度です。
次回、遂にミレイアと『アルムスディオシス』が登場します。
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