第64話「山岡さん」

「山岡さんっているじゃん?」


 学校帰り駅までの道のりで西森さんが聞いてくる。山岡さんって同じクラスの女子だ。ちょっとおとなしめでメガネをかけた可愛らしい子だ。


「確かクラス委員だよね」


「そうそう。でさ、ふと気になったんだけどさ、『山』と『岡』ってさ、二つとも似たような意味じゃね?」


「あっ、名前の漢字の話!?山岡さんの話じゃないんだ?」


 さすが西森さん、話の流れが未だに読めない。


「知ってるか村上くん。そもそも『岡』と『丘』と二種類あるのも紛らわしいが山と丘の定義も曖昧なんだぜ。日本一高い山は富士山だが日本一低い山は3つもある!」


「え、何それ」


「まあ、測り方だか何だかが違うらしいがどれも6mほどの山だ。ぶっちゃけ6mなんて下手したら二階建ての屋根くらいの高さだよ?そんなの山じゃなく丘じゃね?」


「6mは確かに思ったより低いね」


「厳密には緩やかな盛り上がりだと丘だとか、頂きが高いとかあるらしいけど山か丘かの最終的な基準は『地元で何て呼ばれてるか』だって!山とか丘とか岡とか…もうめんどくさいよね、全部山でいいじゃん、山山さんでいいじゃん」


「山岡さんの名前勝手に変えたり文句言わないで、山岡さんいい子だよ!」



 今日の西森語録「山と丘は曖昧」


 西森さんの話だと山の中に丘がある場合もあるとか。て言うか山岡さんでそこまで話広げられてもなあ…。山岡見るたびに思い出しそう。

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