第62話「前世」
「生理的に嫌いなものってあるよね…」
昼休み、西森さんが肉味噌おにぎりを食べながら渋い顔をしながら言う。新商品だから試しに買ってみたらしい。
「なんでこの!おにぎり!肉味噌って書いてるのにシソの葉入ってるんだ!私はシソ嫌いなんだよ!生理的に!」
「そんなに嫌い!?」
そう言いながらも物凄く嫌そうな顔でおにぎりに齧り付く。あ、嫌いでも食べれるんだ…。
「まあ、食べれなくはないから食べるんだけどさ、なるべくなら食べたくないって言うかわかってたら買わないって言うか。アレルギーとかでもないし、ただ味が嫌いなんだよ」
「僕は特に嫌いなものないからその辺の感覚はちょっとわからないかも」
「それは羨ましい。知ってるか?村上くん。赤ん坊にリンゴとモモのペーストを食べさせたら明らかにリンゴの方が喜んだって話があるんだ。つまりだよ、生まれて間もない赤ん坊ですら好みってのがある」
「へぇ、面白い」
「好きなものに対して理由はない様に、嫌いなものも同じで理由もなく嫌いなんだよ、これは生まれつきだ。じゃあだよ?この好き嫌いって何から来てるんだろうか?」
「えっ…遺伝とかじゃ…ないよね?」
「そう!パパもママも何ならお婆ちゃんだってシソは平気だ!シソジュースとか作るくらいだから!つまりだよ、もしかしたらだ!この『生まれ付き生理的にダメ』って言うのはだ、前世の記憶じゃなかろうか!」
「ぶっとんできたな!」
「だって家族誰も嫌いな人いないよシソ。私だけこんな嫌いだなんてさ、前世でシソに酷い目に遭ったんだよ、きっとシソ畑で奴隷として働かされてたんだ!」
「それ味関係なくね!?」
今日の西森語録「好き嫌いは前世の記憶」
ちょっと面白い話だし前世とかあるなら来世にも期待できると思ったけど…もしかして幼い頃に家でシソジュースで何かやらかしただけなんじゃないかな?とは言わないでおこう。
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