第60話「星に願いを」

「村上くんは流れ星は見たことあるかい?」


 昼休み、味噌カツおにぎりの包装を破りながら西森さんが聞いてくる。流れ星か。


「見たことあるよ。ペルセウス座流星群とか」


 探して見ようとしても中々見れるものじゃない。でも今の時代、いつ、どの辺りで流れ星が見えるかなんて検索すればすぐだ。


「いいね!流れ星、見た事あるか!じゃあさ、流れ星ってめっちゃ早いよね?すぐ消えちゃうよね?」


「うん?」


「あの速度に願い事3回も言うって無理じゃね!?誰が言い出したか知らないが、3回どころか一言も無理だと思う訳よ?」


「た、確かに一瞬だよね」


「流れ星が流れてる、光ってる間に願い事を三回とか絶対無理じゃん!つまりだよ、村上くん!この『流れ星に願い事を三回言えば叶う』ってのは詐欺じゃないかな!絶対できない事に対して『出来たら叶う』とかさ、『道具なしで空飛べたら1億円あげる』くらい無茶振りだと思うのよ!」


「まあ、迷信の部類だからね。それに本来ならキリスト教とか由来らしいし、諸説色々あるみたいだしね。それこそ、流星群なら沢山見えるから言えなくはないんじゃない?」


「え!アレ、一つに付き一回じゃないの!?流れてたらいいの!?だとしたら簡単じゃん!価値ないじゃん!」


「ワガママか!」



 今日の西森語録「流れ星に願いは詐欺」


 ロマンの欠片もないなぁ。

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