第57話「肉球」
「あのさ、村上くん…」
帰りの駅までの道、不意に真剣な表情で西森さんが聞いてくる。
「肉球って…そんな良いものじゃなくない?」
「何でいきなり肉球?」
真剣な顔していきなり肉球の話がくるとは、さすがだ。
「この前心愛ちゃんちに遊びに行った時にさ、心愛ちゃんが飼ってるネコがいたんだけどさ。『肉球可愛いでしょ〜!』ってずっとぷにぷにしてるのよ…心愛ちゃん。でもさ、よくよく考えたら肉球って実際には足の裏じゃん?」
「まあ、そうだね」
「足の裏とか触りたくなくね?村上くんだってもし私の足の裏をぷにぷにしろって言われたら嫌だろ?」
「えっ…ま、まあ…ちょっと困るかも」
いや西森さんの…足の裏をぷにぷにするのはちょっとエッチだな、と思ってしまったのは言えない。
「それにさ、ネコなんて何処を歩いてるかわからないよ?ひょっとしたら生ゴミの上や自分がしたオシッコの上とか歩いてるかも知れないんだよ?なんか触るの嫌じゃない!?」
「そ、そう言われるとちょっと嫌かも」
「だから肉球ってそんな有り難いものでもぷにぷにしたいもんでもないって思うんだよね!足の裏だもん!」
「僕はうちの犬の肉球ぷにぷにしてるけどね」
「……村上くんもそっち側か!」
「そっち側てどっち!?」
今日の西森語録「肉球は単なる足の裏」
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