第46話「万有引力」
「重力ってさ、ほんとにあるのかな?」
床に落ちた味噌カツオニギリの味噌カツを見つめながら西森さんがいう…落としちゃったか…。
「残念ながら味噌カツがそれを証明してるよ、西森さん…」
「でもだよ、これは重力なのか?」
落ちたカツを拾ってゴミ箱に捨てながら西森さんが言う。
「例えばだよ、村上くんもバケツに水を入れてぐるぐる回した事ないかい?真上になっても水が落ちてこないやつ」
「あるね。でもアレは遠心力だよ」
「そう。遠心力だ。でもだよ、遠心力と言うならばだ、地球は太陽の周りをそれこそ水の入ったバケツの様にぐるぐる回ってる。つまりだ、本当は引力や重力なんかなくて、これは遠心力なんじゃないか?味噌カツが落ちたのも!」
「え、でもそれだと地球の裏側に居たら飛んで行っちゃうんじゃないの?」
「そこで自転だ!いいかい、地球は回ってる!だから絶妙な回転で裏側の人が落ちるより先に表になるんだよ!知ってるか、村上くん。地球は丸くないんだ」
「!?」
「ちょうど真ん中、いわゆる『赤道』で膨らんで厳密には楕円なんだよ、地球は。この楕円こそ地球が引っ張られてる証であり、重力じゃなく遠心力で味噌カツは落ちたんだよ」
うわ、説得力あるな。重力はなくて遠心力か。
「だから私は味噌カツを落としたのではない!引っ張られただけなんだ!」
「……」
めっちゃ苦しい言い訳じゃん、感心して損した。
今日の西森語録「重力は遠心力」
でも気になるな、物理学者はこういうのを学んで探究してるんだろな…。
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