第43話「1年差」

「しかしだよ村上くん。ズルいと思わない?」


 体育祭の合間に休憩に来た西森さんが吠える。相変わらずいきなりだな。


「ズルいって?」


「駆けっこだよ!そもそも体育自体あまり好きじゃないが競争させる意味がわからない!」


 まあ、僕も体育は苦手な方だから気持ちはわからんでないが数学のテストだって順位がつくからな…。

 うちの学校の体育祭は全員何かしら参加するが大半の生徒は徒競走だ。部活とかやってる奴らはともかくインドアなオタクなキャラには楽しくない。

 

「そもそもだ、私、3月生まれな訳よ?一緒に走った石川さんなんか5月生まれだ。その差11ヶ月もありゃ実質1年、一歳離れてるようなもんだ!大人ならいざ知らず成長期の我々の1年はデカ過ぎると思わないか!」


「あー、確かに。個人差以上に年齢差が影響大きいもんね、学生のうちは」


「それなのに一緒に走って身体能力で勝てる訳ないと思わないか?せめてこう…2月や1月生まれと走るならまだわかるが…」


 確かに4〜10月、11〜3月でクラスを分けてもいい気はするな、その方が公平だ。


「まあ、僕は4月生まれだけど全然勝てないけどね」


「村上くん、それはカッコ悪い。もっと鍛えよ?」


「えっ」



 今日の西森語録「4月生まれと3月生まれが同じ学年なのはおかしい」


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