第44話「納豆」

「聞いてくれ、村上くん」


 朝の下駄箱で西森さんに声をかけられる。


「おはよう、今日も寒いね。どうしたの?」


 さすがに今日は西森さんもちゃんとコートを着て来てるな。


「朝ごはんに納豆を食べようとしたんだよ。そしたらママがさ、納豆の賞味期限が切れてる!って捨てちゃったんだよ!もう完全に納豆の気分だったのにさ!」


 納豆の気分て何だよ、あんまり納豆にそこまで思った事ないよ。


「だいたいおかしくない?納豆てさ、ぶっちゃけ腐った豆なんだよ、なのに賞味期限があるのは納得いかない!」


「え、腐った豆は言い過ぎじゃない?」


「納豆の起源は諸説色々あるんだけどね、煮豆を藁に包んで運んでたけどそれが痛んで醗酵して出来たのが納豆なんだよ。当時は醗酵の概念がないからただ腐った豆だったんだよ。何故腐った豆を食べたかは置いとくとして腐ったモノに賞味期限があるのは釈然としない!」


「気持ちはわかるけどね。醗酵と腐敗は別だからね。まあ、わかりやすく言うと50%腐ってると美味しいけど100%腐ってたら食べれないみたいな感じかなあ。厳密にはそうじゃないんだけど。醗酵以外の悪い菌が繁殖して腐敗になる」


「なるほど…つまり納豆の賞味期限は腐りすぎる期限なのか!!」


「まあ、雑に言うとそうだね」


「じゃあなおさら1日くらいなら過ぎてても食べれるんじゃない?」


「まあ…そうだね。特に賞味期限ってのは美味しく食べれる期限だから即食べれないって訳じゃないからね」


「納豆…食べたかった…」


 そんなに!?



 今日の西森語録「納豆の賞味期限は腐りすぎる期限」

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