第33話「修行」
「クマってさ、強いよね?」
昼休み、弁当を食べ終わった西森さんが肩でポニーテールを弄り出す。また何か思いついたな?
「まあ、素手なら人間より強いだろうね」
「例えば格闘家とかめっちゃ鍛えた人ならクマに勝てるかな?」
「ど、どうだろう?熊殺しの異名を持つ格闘家は居たらしいけど…」
「それは凄いな!人間はクマと戦えるのか!」
誰か忘れたが居た気がする。でもアレは取っ組み合いしただけで殺してないとかサーカス用の熊だったとか色々聞いたけど。
「でもだよ、村上くん。クマは強いけど身体を鍛えたりしてないよね?」
「えっ…そりゃしないんじゃない?」
「そう、クマが強いのは生まれつきだ、生まれつきクマだから強いんだ。ならばだよ、もし、もしもだ。クマが身体を鍛えたら通常のクマより強くなるんだろうか?」
「えっ…そりゃ強くなるかも。でもまずどうやって鍛えるの?クマが腹筋したり腕立てしたりしてたらちょっと面白すぎるよ」
「それは確かに面白いな!でもまあ、クマは修行はしない。多分ライオンだって虎だって修行はしない。つまりだ、何が言いたいかと言うと、身体を鍛えるのは人間だけなんだよ!何故、人は身体を鍛えるのか?強さを求めるのか?」
「あー。確かに鍛えないといけない理由は健康的になるため以上の理由は思いつかない」
「もちろん仕事だったりスポーツ選手が成績を残すためって意味合いはあるだろうが…『身体を鍛える』、これは人間しかやらない行動だ。つまり、これもまた人間と他の動物との決定的な差だな!」
なるほどなあ、確かに。でも西森さん、やたら人間と他の動物との違いを探すの好きだな。
今日の西森語録「身体を鍛えるのは人間だけ」
とは言えクマやライオンが鍛えたらどうなるか?少し興味あるな。
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