第34話「蜘蛛の巣」
「見ろよ、村上くん。こんなとこに立派な蜘蛛の巣が出来てるぞ!」
学校帰りの駅までの道、西森さんが宝箱でも見つけたかの様に指指す。街路樹と街灯の間にまるでお手本の様な蜘蛛の巣が出来ている。
「ホントだ、昨日通った時は無かったよね、コガネグモの巣かな?」
別に珍しい訳じゃないが、大きさ、形が綺麗な蜘蛛の巣だな。
「凄いよね、蜘蛛の巣って。こんな木と街灯の柱の間に巣を張るなんて。しかも一日で。まあまあ距離があるのに糸を出しながら木と街灯を往復して登って行ったのか。何だか大変そうで蜘蛛の巣を壊せなくなるな」
「いや、わざわざ歩いて行った訳じゃないよ。蜘蛛ってお尻から糸を垂らして、風に乗せて反対側まで飛ばしてるんだよ」
「なんだって!?じゃあ風が吹かない時はどうするんだ!?」
「まあ、風を待つ…というか多分もっと近い下方向に作ってたんじゃないかな?」
「そんなふうに作るのか。じゃあこの立派な巣はさぞかし苦労して作られているんだな…」
「いや、でも1〜2時間あれば作るらしいよ」
「そんな早いの!?どうりで昨日無かった場所にもう出来てる訳だ…蜘蛛って凄い生き物なんだな…」
「まあ、早くないとご飯にありつけないからね」
「つまり蜘蛛にとっては巣を張る行為は人間がお茶碗を用意するようなもんか」
「そこまで簡単じゃないけどまあ、近いかもね」
「次から蜘蛛の巣を壊す時は茶碗を割る気持ちでやるよ」
「それは何か違う気する…」
今日の西森語録「蜘蛛の巣は茶碗みたいなもの」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます