第28話「こんにゃく」
「村上くんはコンニャクの作り方って知ってる?」
お弁当を持って来た西森さんが箸でコンニャクを掴みながら言う。昨日の夕飯の残り物のおでんを詰め込んだらしい。
「何か手間がかかるってくらいしか知らないなあ。確か元がコンニャク芋という芋なのは聞いた事あるけど」
「そう、コンニャクはコンニャク芋から出来てるんだけど、そのままでは毒だ!食べられない!口にしただけでも痛いらしいし、手で触っても痒みや痛みが出るほどだ」
「何それ怖い。つか、めっちゃ詳しいじゃん」
「このコンニャクうちで作ったんだ!」
え、凄いなそれ!コンニャクって家で作れるんだ!
「そのままじゃ食べられないから石灰でアクを抜くんだよ。無毒化だね。家で作る時は石灰の代わりにソーダ(水酸化カルシウム)を使うんだけどね」
「めっちゃ手間じゃん!」
「そう、そこだよ村上くん!まず触っただけでも痛みが走るような芋を何故食べようとしたかも謎だが石灰、つまり灰を混ぜるなんてもはや化学実験だよ!」
「確かに授業でありそう」
「毒というならば、フグだってそうだ。私はまだ食べた事ないがフグも今でも調理免許がいるし、毒に当たらない食べ方、捌き方があるけどそれが確立するまで絶対何人か死んでるよ」
あー。何かで聞いたことある。確か昔はフグで死人が出てフグ禁止令も出たとか毒に当たった人は砂に埋められたとか。
「凄いよね、人間の食への執念。もはや料理は一種の人体化学実験だよ。先人の努力と犠牲に感謝して食べよう」
そう言ってパクりとお弁当のコンニャクを口に放り込む。
今日の西森語録「料理は人体化学実験」
手作りコンニャク…気になって来たな、僕も作ってみようかな。
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