第40話「冬眠」
「うう…今日は寒いな!」
学校帰り駅までの道、西森さんが震え声で呟く。確かに今日は寒いのに西森さん、上着着てないじゃないか。
「そんなカッコだと余計に寒いだろうに…」
「朝寝坊して急いで家を出たから完全に忘れてきた!」
あー。しかも今朝はそんな寒くなかったもんね。
「しかしだよ村上くん…こんな寒いのに何故人間は学校へ行かなきゃいけないんだろ?社会人も会社に行っている…おかしくない?」
「気持ちはわかる。もうコタツから出たくないよね」
「そう!出たくない!そもそも冬は冬眠していいと思うんだ!カエルも蛇も、それどころかクマもリスも冬眠するんだ!知ってるか?コウモリも冬眠するんだぜ!」
「マジか。つかめっちゃ詳しいじゃん西森さん」
「あんなデカいクマも冬眠出来るんだ、頑張れば人間も冬眠出来るはずだよ!元々哺乳類は冬眠する機能があったっていう説もあるくらいだしな!」
「そんな説があるのか…でも冬眠って食べるものが無いから体温を下げて仮死状態で冬を越す事だよ?クマだって食べ物がある動物園では冬眠しないよ?」
「何だって!?動物園のクマは働き者だな!」
「まあ、働くまではいかなくても僕たちは冬休みという名の冬眠があるから頑張って冬を乗り切ろう」
「村上くんは時々真面目だなぁ…」
今日の西森語録「頑張れば人間も冬眠できる」
いや、僕はいつだって真面目なんだけど!?
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