第20話「虫刺され」

「おはよう村上くん…」


 下駄箱でまたしても眠たそうな西森さんに会う。また寝てないのか?


「おはよう、眠たそうだね、また夜更かししたの?」


 すると見る見る西森さんの顔が不機嫌になる。


「夜更かしというか!寝れなかったというか!夜中に蚊に刺されて痒くて寝れなかったんだよ…もうね、トドメさすまで安心して寝れないよね」


「それは…災難だね」


「しかし謎だよ。村上くん、蚊に刺されたら何故痒くなるか知ってるかい?」


「確か…血を吸われた時の唾液で痒くなるんだよね?」


「そう!血を吸う代わりに唾をかけてくのも失礼な話だが、不思議に思わないか?蚊に血を吸われても痒くなければ蚊を探したり倒そうとは思わない。痒くなるから『蚊がいる』と気づく訳だ。蚊にしてみればこっそり血を安全に吸えるのにわざわざ痒くして自分の存在をアピールしている!」


「なるほど、確かに痒くなければ多少刺されたって別に構わないもんな…」


「そう、わざわざ不利になる痒みを撒き散らしてる…何故わざわざ証拠を残すのか?ここに蚊が居ますよアピールは自分の寿命を縮めるのに!」


「まあでも痒みの原因は唾液、つまりヨダレだからね、血を吸うのは食事みたいなもんだから。西森さんも味噌カツオニギリとかお昼ご飯の時はそれこそヨダレを垂らしそうな勢いだからね」


「えっ私そんな食いしん坊キャラじゃないよ!?」


 でも確かに、痒みを残さなければ蚊はもっと安全に血を吸えるし、生き物としてはその方が絶対いいはずだもんな、何で痒くしてくるんだろ?本当にただご馳走に涎を垂らしてるだけなのかも?



 今日の西森語録「蚊に刺されて痒くなるのは謎」

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