第37話「雪」

「見ろよ村上くん!雪だ!」


 学校の帰り道、どんよりとした雲だとは思ってはいたがひらひらと白い粒が西森さんの顔を濡らす。この地方はあまり雪が降らないから珍しい。


「たま雪だね、どうりで寒い訳だね」


「たま?雪?」


「ああ、雪って形状によって呼び方があるんだよ。たま雪は雪同士がくっ付いて玉状になってるからたま雪」


「詳しいな、村上くん!」


「ここに引越して来る前は比較的東北の雪国に住んでたからね」


「そうなのか、知らなかった!」


 西森さんは高校に入ってから仲良くなったからな、こっちに引っ越してきたのは中学の時だから西森さんが知らないのは当然だろう。


「他にも粉雪、綿雪、ぼたん雪、はい雪とか色々呼び方があるよ」


「ぼたん雪は聞いた事あるな、何が違うんだ?」


「まあ、大きさや形だね。含まれる水分で形が変わるんだよ」


「へぇ、ちゃんと基準があるのか」


「降る雪だけでなく積もってる雪も色々呼び方があるよ。雪にまつわる単語は100種類くらいはあった気がする」


「え!?ゆ、雪だけで?いくら何でも多すぎじゃないか?どんだけ雪に思い入れあるんだよ…確かに儚くて綺麗なイメージあるけども!」


「雪国地方民としては雪かきや雪下ろしとか大変だったから雪には良いイメージ無いけどね」


「あー。なるほど!」



 今日は村上語録「雪はめっちゃ単語に種類がある」


 見てる分には綺麗なんだけどね。

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