第17話「髪の毛」
「髪、だいぶ伸びて来たんじゃない?西森さん」
「ん?ああ、そうだな…」
駅までの帰り道、夕陽に照らされる黒髪が綺麗だがいつも眉毛くらいまでしかない西森さんの前髪がまつ毛までかかって前が見えにくそうだ。心なしかポニーもいつもより長い。
「切りに行くかー。割と面倒くさいんだよね、髪切るの。ほら、美容室でじっとしてなきゃダメじゃん?その間何も出来ないの苦痛じゃない?」
「わからんではないけど割と床屋のおっちゃんと何かしら話してるからなぁ、僕は」
「村上くんならいいが私の行く美容室のお姉さん、バリバリのパリピでオタクトーク出来ないからな…」
「あー…」
「それにしてもだよ、村上くん。何でいちいち髪は伸びるかね!よーく考えて欲しい。犬も猫も、何なら猿だって野生なら美容室に行ったりしなくても前が見えなくなるほど毛が伸びたりしない!人間だけおかしくないか?」
「まあ犬や猫は生え変わるよね、夏毛から冬毛とか」
「そう!毛の生える生き物で毛を切らないといけないのは人間くらいじゃないか?いや、トリミングとか動物だってするけどしなくても人間みたいにめっちゃ長く伸びたりしない」
「確かに伸ばせば凄い伸びるね、髪は。時間はかかるけど」
「しかも髪の毛だけだよ?脇毛とかアソコの毛とか、まあそれなりには伸びるけど切る程じゃない。切らないといけない程伸びるのは髪だけなんだ!不思議だろ?」
まあ、男子なら髭も伸びるけど確かに切らないといけない程伸びるのは髪と髭くらいか、そりゃ人によっては脇も下も手入れする場合もあるだろうけど。
「いっそ伸びずに固定の長さならいいのに!」
「それだと一生髪型変えれないし間違えて切ったらそのままになるよ?」
「私一生ポニーテールしてるわ!」
今日の西森語録「いちいち切らないといけない毛は人間の髪の毛だけ」
でも女子は割とムダ毛の処理とかしてるんじゃあないのか?って質問は、今はやめておこう。
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