第13話「ハサミ」

「男子ってハサミ好きだよね?ハサミ持ってない?」


 昼休み、売店で買って来たスティックパンの袋を開けようと悪戦苦闘してる西森さんが聞いてくる。いや、普通に持ってないけど。


「はいはい、開けてあげるから。ハサミは持ってないけど」


 ひょいっとパンを取り上げて袋をビリっと開ける。


「さすが男子!まさかハサミでなく素手とは」


「どんだけハサミ期待してんだよ」


「ほら、男子ってハサミ好きじゃん?」


「何だよその偏見。常に持ち歩いてたら不審者だよ」


「ザリガニ、好きだろ?」


「…うん、まあ?」


「クワガタも好きだろ?」


「え、まあ…」


「村上くんの好きな特撮…何だっけか、何とか星人も好きだろ?」


「バルタン星人か、好きだけど…」


「サソリもカッコいいだろ?」


「う、うん」


「カニだって…」


「いやカニは何か違う」


「ほら!みんなハサミが付いてる!男子はハサミ好きだろ!」


「いやまあ、男子に人気はあるかもだけども!」


「男子ってハサミが付いてる生き物大好きじゃん。ハサミの魅力って何?」


「え!?」


 ハ、ハサミの魅力?か、考えた事なかった…強そうだからかな?


「まあ、でも蟹はちょっとカッコいいと思わないかな…ハサミだけじゃない、何かこう…ハサミプラスなんかフォルム的な…」


「ハサミだけじゃないのか…」


 何でそこでしゅんってなるんだよ、男子に何拗らせた妄想抱いてんだ…。



 今日の西森語録「男子はハサミ好き」




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