第12話「蜘蛛とフナムシ」
「あ、蜘蛛だ」
国語の授業が終わり、昼休みに入ったとこで西森さんが指差す先を目で追うと窓際の隅に手のひら大のデカい蜘蛛がいる。アシダカグモかな。
蜘蛛は西森さんの声に驚いたのか、サッと窓から外へ逃げていった。
「なあ、村上くん。蜘蛛ってさ、蟹と似てね?」
「ちょっと何言ってんのかわからない」
似てるって何が?明らかに別生物だろ、確かに足の多さとかわからなくはないが似てるは言い過ぎじゃない?
「いやさ、蟹とか海老とか…普段美味しそう!って思うけどさ、よくよく考えたら結構グロテスクな生き物と思うんだよ…」
「あー、わからんではないけど」
「そもそも海老に至ってはフナムシと紙一重だと思うし」
「そ、そうかな?」
「思うにだよ、蟹や海老も美味しいかも知れないが、見た目はまあまあグロテスクなのに食べよう!って初めて思った人はよほどお腹が空いてたんじゃなかろうか?フナムシや蜘蛛も試しに食べたんじゃないかな?でもきっと不味かったんだよ」
なるほど、いつから食べられてるかわからないけど不作やら飢饉やらで食べ物に困った人達が食べて美味しい!ってなったのか。可能性はあるなあ。
「でも食べ物がなくて死にそう!ってなってもフナムシはやだなあ」
「私も嫌だ」
今日の西森語録「初めて海老を食べた人はお腹が空いていた人」
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