第4話「犬と猫」
「村上くん見てよコレ、可愛くない?」
駅までの帰り道、西森さんが鞄に付けた小さなミケ猫のストラップを見せてきた。
「うん、可愛いね。しかし小さいのにめっちゃリアルだな。作り込まれてる」
「そう!そこがいい!でもだよ村上くん。今、『この猫を見て可愛い』と言ったね?」
「え?う、うん。可愛いと思うよ?」
「ちなみに犬は好きかい?犬も可愛いだろ?」
「そうだなあ、犬は家でも飼ってるしね。可愛いよ。犬と猫なら犬派だしね」
「犬も可愛いよなあ。私は猫派だけど。そこでだ、村上くん!」
西森さんが肩で髪を弄り出した。これは来るな?西森節。
「犬も猫も、全く人間に似ていない。同じ哺乳類って括りではあるが完全に別の生き物、別の種族だ!全く別の生き物に対して人間は『可愛い』って思える。これって凄く不思議じゃない?」
「えっ」
また意表を突いた考え方が来たな。確かに犬も猫も人間基準から見たら全く似てない別の生き物だ。全身毛だらけだし身体の構造も別物だし何なら食べるものも違う。何も考えず可愛いと思ってだけど何故可愛いと思うか?は考えた事ないな。
「可愛いって思えるのは人間だからだろうか?犬や猫も別の生き物を見て可愛いって思う事があるのだろうか?むしろ可愛いって何だろうか?」
「何だか哲学的だなぁ」
「もしかしたら人間と他の生き物との一番の違いは別の生き物に対して可愛いと思える事なのかも知れない!可愛いと思える心こそ人間の証明なんだ!」
「いやもっと他にもあるだろそれは」
今日の西森語録「可愛いは人間の証明」
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