第3話「宇宙人」

「村上くんは宇宙人っていると思う?」


 放課後、西森さんが読みかけのSF小説を片手に聞いてくる。またなんか小説に影響受けたか?


「んー、どうかな。僕は自分で実際に見たものしか信じないけど、可能性はあるんじゃないかな?宇宙は広いし」


「そう!宇宙は広い!」


 長めのポニーテールを弄りながら目をキラキラ輝かせ力説する。


「地球人だってまだ宇宙のほんの一部しか行けてないんだ、他の星の宇宙人だってまだ来れてないだけなんだよ!」


「まあ、そりゃそうかもね」


「それにだよ…村上くん…」


 急に真剣な表情で声のトーンを落とす。


「もし、もしもだ。仮に宇宙人が居ないとしたら…この広大な宇宙空間で、地球以外は生き物が居ない死の空間なんだよ!そう考えると凄く怖いと思わない!?宇宙はこんなに広いのに!」


 …一瞬鳥肌が立つ。確かに、地球以外は生命が居ないってめっちゃ怖いな。


「もし微生物だろうが動物だろうが居たら人間みたいな知的生命体に進化しててもおかしくはない!だから宇宙人が「存在しない」ならこの地球以外は死の空間って事になる。そう考えるとめっちゃ怖くない!?」


「…怖いね」


「なので!宇宙人はいて欲しい!」


 宇宙人がもし居ないと、地球以外は死の空間か…今日は西森さんのせいでちょっと怖くなってしまったな。地球も充分広い世界なのに、閉塞感を感じてしまった…。



 今日の西森語録「宇宙人が居ないとしたら地球以外は死の空間」


 そうでない事を切に祈る…。

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