第5話「死後の世界」

「幽霊って信じる?」


 昼休み、珍しく自分で作ったという弁当を食べながら西森さんが言う。だし巻き卵が美味しそうだ。


「僕は信じないかなあ。宇宙人の話の時にも言ったけど、自分で見たものしか信じないよ」


「君は相変わらずクールだな!漫画やラノベを読み漁ってるのに実にリアリストだ!」


「……まあ漫画ラノベは趣味だからね」


「昨日ホラー映画を観たんだよ。悪霊が呪い殺すヤツ。んで、ふと思ったんだけど、悪霊って元は生きてた人間じゃん?」


「うん?まあ、そうだね」


「つまりだよ村上くん。悪霊に呪い殺されて死んだら同じ霊同士になる!だから死んで霊になったら悪霊と戦えると思うんだ!」


「!?」


「そもそもおかしいと思わないか?人間が死んで幽霊になると言うならば、悪霊に殺された時点で霊になれると思うんだ」


「なるほど、じゃあ自分を呪い殺した悪霊に対してムカつく!って気持ちがあれば悪霊と戦えるね…」


「そうそう。だから悪霊に襲われたなら怖いって思うよりも『やる気かコラァッ!』くらいの気構えでいた方がいいと思うんだ」


「何それヤンキー同士の喧嘩かよ」


「それに悪霊とか幽霊がいた方がさ…死んでも安心じゃない?もし死ぬ瞬間に意識があるならば、幽霊になるぞ!って思えば悪霊ライフを楽しめるかも知れない!」


「何だよ悪霊ライフって。僕はどうせなら異世界転生がいいなあ」


「…村上くん、以外と夢みがちなんだな、もっと現実を見て?」


 なんで幽霊はよくて転生はダメなんだよ…。




今日の西森語録「幽霊がいるなら死んでも安心」


 まあ、仮に死んで霊になれたとして悪霊に勝てるかは別問題だけどね。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る