第2話 今城さんの心情
ん?ここは?病院じゃないな、会社に連絡しなければ、どのくらい時間が経った?森内は無事か?会社に連絡しなければ、体に力が入りにくい、
俺はどうなっちまうんだ?会社に、
「会社に連絡をぉぉぉ!!」
「うぉぉぉ!?ビックリした~!」
「!?ここは!?」
家じゃないし職場でもない、居酒屋の帰り道でもない。
「おはよう明くん」
「へ?あんた誰だ!?」
俺のすぐ隣には何か羽の生えた鎧の様な物を着ているおっさんが立っていた。
「ふふふ、よくぞ聞いてくれた」
そして彼は決めポーズをしながら声高らかに叫んだ。
「我が名は大天使聖ミカエル!!この天界で最も偉大な天使さんなのだ!!
今から君には我が管轄している国の入国テストを受けてもらう!!」
「…」
「む?どうやら状況をうまく飲み込めていないようだね」
「そりゃあね」
いきなりおかしな場所に連れてこられて、おかしなおじさんに
おかしな話されて『はいそうですか』では済まないだろう。
「おけ、じゃあ順を追って説明しよう。」
「よろしくお願いします」
「まず君は2023年の11月11日に死んだ」
「え?」
「やったじゃん、ゾロ目だよ」
「何もよくねぇよ!!」
は!?死んだ?確か俺、森内といっしょに帰っててそしたら
「あ」
「思い出したようだね。そうだ、君はあの後輩を飲酒運転で突っ込んできた
トラックから庇って死んだんだ」
「そうか、あの時...」
「我はその姿にひどく感動してな~。君になら私の管轄の国の足りないものを
埋めてくれるのではないかと思ってね」
「さっきから言ってる国って?」
「ん?ああすまない、説明がまだだったな」
そして彼が右手を横に突き出すとそこには映画でよく見るような何やらいろんな建物がある町の様なホログラムが広がった。
「これが君の行ってもらう予定の国、〖パレナ王国〗だ!!」
「!?…これは」
そこはまるでタイムスリップした様な風景が広がっている。
馬で移動する人や、見たことのない生物、そして......?
「あの~なんかあの人、手から火が出ていますよ」
「ああよく気づいてくれた。あれはついこの前導入してみた『魔法』だ」
「え!?この世界魔法使えるんですか?」
「ああその通りだ。誰でも簡単な魔法なら練習すれば手に入るぞ」
「すげぇ~、でも何で導入したんですか?」
「流行っていたからね」
「へ、へ~」
どうやら深い考えはないらしい。
「なんか導入した方が人類の平均のレベルが違うらしい」
「らしい?誰から聞いたんですか?」
「訪問販売の人が言ってた」
「神様にも来るんや」
「今安くなってるらしかったから買ってしまった。まあちょっとレベルは上がった
から別にいいんだけど」
「はあ...、それで僕は何をすれば」
「君にはこの国の騎士として王の護衛をしてもらいたいんだ」
「え?僕が護衛?無理っすよ」
「なんで?」
「僕はただの一般人の社畜でボディガードの経験とかもなくて、」
「でも人の命救ってるじゃん」
「でも!」
「大丈夫、君が大した身体能力を持っていないことだって知っている。
ただ大事なことは事実だ。」
「え?」
「人の命を救ったという事実だけで騎士になる片道切符は手に入れた様な物
なんだよ。後はちょっとした質問を答えればいいんだ」
「質問?」
「君の夢は何かな?」
「は?」
「なんでもいいよ。王様になりたいとか、お金持ちになりたいとか」
「そんなこと、急に聞かれても...」
俺には昔からそんなものはない。今まではっきりとした目標も持てずに何となく
生きてきた俺には夢なんてものは無かった。
「そう言うと思ったよ」
ミカエルさんはそう言うと不敵な笑みを浮かべた
「え?別にいいんですか?」
「今回は特例中の特例として特別に一週間体験を許可しよう」
「え?」
「それでは行ってらっしゃ~い」
ミカエルさんがそう言った瞬間俺の立っていた床が抜けて俺は落ちてしまった。
「うわあああぁぁぁぁ~」
「シスターちゃんによろしく言っといてねぇぇ~」
俺は落ちている途中で気を失った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます