修行 2年目 (夜久)



ふむふむ!



ルナの剣、だいぶ基礎ができてきておるの〜

前よりも踏み込みが深くなっているし、剣も鋭さが増したようじゃしのう。


これなら次に進んでも良さそうじゃな?

見たところ実力は足りているようじゃしのう。


まぁ、儂には見る目がないと散々言われたがのう。

ま、大事には至らんじゃろう!



――――――――――――――――――――



「と、言うわけで今日は別の修行、というか、稽古をしようと思っておる。」


「おぉ、いきなりだな。」


「おぬしもだいぶ剣の使い方というものを理解してきておるからの。稽古とはちょいとした試合をしてやろうと思ったのじゃよ。」


「試合? 誰とや――――、あー。」


「今日は儂と打ち合いの稽古じゃ。安心せい、腕一本で済むようにしてやるから。」


「ちょいちょいちょい。腕一本ですか!?」


「安心せいと言っておるじゃろうが。手加減は得意なのじゃ!」


「そう? ・・・・・嘘じゃないよね!? 心配なんだけど!?」



うるさいのう。なにやら『腕消滅の危機!』などとほざいておるが、そんなに儂が信用ならんのか?


ルナの前では格好つけておるが、本当は数億年生きてるというだけの、か弱い女性なんじゃぞ?


そんなに怖がられては儂も流石に悲しむぞ?



「始める位置はだいたい斬り合いができる程度でよかろう。」



ルールは・・・・・・ふむ・・・・・



「ルールは、身体強化はあり、剣のみ、となっておる。理解力のないおぬしでも分かり安かろう?」



ふむ・・・まぁ、これでよかろう。



「わーわかりやすいですねー」



ルナもわかりやすいと言っておるようだしのう!


わかりやすいのが一番! なのじゃ!



――――――――――――――――――――



「位置に着いたか?」


「は、いっ――――!?」



狙うのは首。

全ての生き物に即死を与える部位。


まぁ、例外もいるにはいるがの。



「今の儂は合理的な思考をしておる。故に、甘えは捨てるがよい。」


「っ!」


「今のルナには迷いが見えるのう。躊躇しているのじゃ。

それは自分が一番よく分かっているはずだがのう。」


「っ! そ、そんなことは――――」


「戦いの途中で喋る余裕があるようじゃのう。これは少々、手加減というものを間違えてしもうたようじゃの。」


「夜久だって喋ってるくせに!!」


「あぁ、余りにも退屈だったものでの。」


「はぁ? 誰が――――――」



そろそろ、仕掛けてみるとするかの。


『抜刀・動』



「っ! ――――ふッッ!」


「・・・・ほ〜。」



・・・・・・まさか躱されるとは思ってもみなかったのじゃ。


『動』は動きが直線的な代わりに速さが増すという特性がある。


動きを読む事は簡単なのじゃが、刃が振るわれるまでの猶予が限りなく短い。


それを躱すとは。

動体視力と反射神経、ともになかなかの物じゃのう。



「じゃが、油断大敵、剣以外のことにも目を傾けるべきじゃな。」



足元、がら空きじゃの。

じゃからただの足払いでも戦場では致命傷になりうる。



「剣はあくまで人を殺すためのものじゃ。殺せるなら剣じゃなくなっていいからのう。」



儂も一番殺りやすいものが刀だっただけじゃしのう。

殴るのもいいが、血が飛び散るのが耐えられんのじゃ。


・・・・・しかしルナを見ていると、なぜこうも嗜虐心と言うものがこみ上げてくるのだろうか。


虐めたくなってくるのじゃ。


ふふ、最近はあまり強者がいないからのう。


・・・確か、前に聞いた『すとれす』というものが感情を抑えきれない原因だと言っておったような気がするのう。



「・・・・・そろそろ足どけてくれないかな。」


「ん? ルナは美少女に踏まれると興奮するのじゃろう?」


「どこ情報だよそれ!! エッチ! プライバシーの侵害! 犯罪者!」


「その、ぷらいばしー。とやらは知らんが・・・。どこ情報と言ったな?」


「お、おうよ!」


「ふふ、答えはベットの上、じゃ♪」


「その話、詳しく。」


「なあに、安心するがよい。それはまだ起こっておらんからの!」


「えっ。」


「稽古が終わったら答えを教えてやるぞい?」


「さぁ、早く! 時間がもったいない!」


「まだまだ余裕そうじゃの?」










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